「国歌を聴く時に、誇りに思う気持ちは毎回強くなっています」
バスケットボール男子日本代表は9月に日本で行われるアジア競技大会選考を兼ねた第1次強化合宿をスタートした。
この合宿はディベロップメントキャンプでもあり、若手が中心のメンバー構成となっている。それもあり、コートには競争と熱気であふれ、アシスタントコーチを務める吉本泰輔も「若くてハングリーな選手がすごく多いので、すごく熱量のある良いキャンプになっている」と語る。
ニックスなどNBAで15年間にわたりビデオコーディネーターやアシスタントコーチを歴任してきた吉本は、その世界の第一線で経験してきた様々なモノを日本に還元することが自身の役割だと考えている。ただ、海外のやり方をそのまま持ち込めばいいという考えではわけではない。
「高い水準を求める世界のレベルを見てきたので、ディテールはもちろんですが、そのレベルに達するにはどうしたらいいかというようなアプローチを僕は心掛けています。NBAがすべて良いわけではなく、高いところでやっていることを日本代表に落としていけたらと思っています」
吉本コーチが特に強調している言葉がある。それが『Get Better(成長する)』だ。
「どの練習、どのセッション、どのドリル、どんなことをやっても1%でも良くなろう、成長しようっていう心掛けでやってもらえたらと思います。昨日よりも今日、今日よりも明日。そういうことを積み重ねていくことによって、個人全体の成長にも繋がると思いますし、チーム全体、そして日本代表としての方向性が良い方に行くんじゃないかなと思っています」
そして、もう一つのキーワードが『Embrace the Competition』だ。直訳は「競争を受け入れる」ことだが、もう一歩踏み込み、競争を楽しむことを求めている。
「コートに入れば競争なのでそのコンペティションの部分を強調していく。誰かが与えるのではなくて、自分自身で勝ち取るモノがあるとやっぱり違ってきます。最終的にはそのコンペティションを楽しむということが一番良いと思っているので」
特定の選手の名前を挙げることはなかったが、「ビッグマンだけではなく、全体的にコンペティティブなキャンプになっています」と言い、実際にキャンプではポジションを問わずに激しい競争が繰り広げられているという。
NBAの世界で長らく活躍している吉本コーチだが、常に日本代表のことは追いかけ、いつかは代表に携わることを願っていた。そして、今年の2月に男子日本代表のアシスタントコーチに就任した彼にとって、日の丸を背負うことへの思いはより増している。
「胸に手を当てて国歌を聴く時に、やはり誇りに思う気持ちは毎回強くなっています。Windowが終わってアメリカに帰って、知り合いのコーチにこういうことがあったと話した時にも、日本を代表できるその偉大さや誇り、重要さというのを、また再確認できました。今回またこうやってシャツを着られることができて、すごい楽しみです」
成長を積み重ね、競争を楽しむ。吉本コーチがこの意識を浸透させることができれば、選手たちがコールアップされる可能性は高まり、代表の底上げにも繋がっていく。
