ビクター・ウェンバニャマ

タウンズ「戦うのはコート上の僕らに任せておいてくれ」

NBAファイナル第3戦はスパーズの勝利に終わったが、その試合後には理不尽な暴力が巻き起こった。ドナルド・トランプ大統領が観戦に訪れたことで厳戒態勢が敷かれたマディソン・スクエア・ガーデンではなく、アリーナ外の広場からブライアント・パークへと場所を移したパブリックビューイング会場で事件は起きた。

タクシーやパトカーの屋根、街灯に登って気炎をあげ、かつてトレイ・ヤングに向けられた侮辱のチャントを『F*ck you Wemby』に変えて連呼するうちに、彼らの暴力衝動は高まっていく。警察官に向かってビール瓶を投げ、一部のファンはブーイングするためにスパーズの宿泊するホテルに向かい、別の一部のファンはスパーズのユニフォームを着たファンを襲い始めた。

ニックスが今世紀初のNBAファイナル進出を果たし、半世紀ぶりの優勝に近付いていることで、ニックスファンの熱狂は頂点に達している。それがホームでの敗戦で悪い方向に噴出してしまった。

暴力行為や脅迫、武器の不法所持により少なくとも21人が逮捕された。一夜明けた現地6月9日、スパーズの選手たちは本来は第3戦を振り返り、第4戦に向けた抱負を語るべき会見で、暴力行為について語ることになった。

ビクター・ウェンバニャマはプレーに集中するためにSNSを見ておらず、スパーズのファンが襲撃されたことを『ESPN』の記者から質問されるまで知らず、驚きの表情を浮かべた。ファンと結び付きの強い彼は「知らなかった」と言うと、しばらく絶句した。

「これがゲームであることを忘れないでほしい。僕たちはコート上でバスケをプレーしているだけなんだ。情熱があるのは良いことだけど、それもお互いへのリスペクトがあってこそだ。暴力は容認できない」

ウェンバニャマ自身は、ホームで大歓声を背に戦うことも、アウェーでブーイングの中でプレーすることも「どちらもエキサイティングだ」と歓迎する。「どちらのシナリオであれ、僕は観客が生み出す熱狂の中でプレーするのが好きだ。ホームでは僕らを支えてくれる人たちに良いショーを見せたいと思うし、アウェーではその逆をやってやりたいと気持ちが高ぶるよ」

ニックスのカール・アンソニー・タウンズもこの件に触れ、ファンに自制を呼びかけた。「試合は情熱と敬意で成り立っている。僕らはみんながお互いを尊重することを望んでいる。バスケをもっと純粋な形で楽しんでほしいんだ。ここはNBAファイナルで、バスケを楽しむのに最高の場所だよ。戦うのはコート上の僕らに任せておいてくれ」