ビクター・ウェンバニャマ&カール・アンソニー・タウンズ

リバウンドを制する者は試合を制す、タウンズの挑戦

2015年のNBAドラフトで最初に名前を呼ばれたのはカール・アンソニー・タウンズでした。センターとしてインサイドでの得点力はもちろんリバウンドやブロックに強く、それでいて3ポイントシュートの精度も高ければ、アウトサイドからのドライブアタックでも点を取れる万能のセンターとして新たな時代を作ることが期待されました。

あれから11年が過ぎ、ついにタウンズはファイナルの舞台へとたどり着きました。その間に自分と似たタイプのセンターが次々と登場してきましたが、その完成形とも呼びたくなるビクター・ウェンバニャマがドラフトから3年でファイナルへと駆け上がってきたことを考えると、長い長い道のりでした。そしてウェンバニャマをどうにかしなければニックスに勝ち目はありません。このマッチアップにおいては、タウンズがチャレンジャーの立場となります。

圧倒的な高さを持つウェンバニャマに対して、まずはリバウンドで優位に立てるかどうかが問われます。レギュラーシーズンでリーグ2位の11.9リバウンドを記録したタウンズは、ニックスのリバウンド力の基盤でもあります。それでもウェンバニャマに対しては高さでのアドバンテージがないため、フィジカルでのポジション取りとボールに対して先に動く反応力が問われます。

ウェンバニャマはこのサイズの選手としては珍しく、自分の身体をコントロールする能力が高く、高さと同じかそれ以上に身体を動かす俊敏さが特長となります。レイアップを落としても着地からすぐに身体のバランスを整えてリバウンドに手を伸ばしてきます。タウンズがそれより早くボールに反応できなければ、ゴール下を制圧されてしまいます。

オフェンスではタウンズがウェンバニャマをアウトサイドに引き出すことで、ニックスのオフェンスはインサイドアタックが可能になります。このプレーオフでは3ポイントシュートを48.9%と高確率で決めているだけでなく、自らが起点になり5.9アシストも記録しており、タウンズがアウトサイドのプレーでイニシアチブを取る可能性は十分にあります。

ただし、それはスパーズも理解しているはずです。タウンズにはウェンバニャマではなく、ステフォン・キャッスルをマッチアップさせるかもしれません。マッチアップに応じて柔軟にプレーを切り替え、常にスパーズの脅威になり続けることがタウンズには求められます。逆にウェンバニャマにOG・アヌノビーがマッチアップするケースも増えると予想され、お互いにセンターへの対応がファイナルの行方を左右しそうです。

そして最大の懸念事項がタウンズのファウルトラブルになってきます。毎試合のようにファウルを積み上げており、それも自分の調子が良い時にボールを奪おうと手を出して余計なファウルをしてしまいがちです。センターの2番手、ミッチェル・ロビンソンが右手の骨折で手術を受け、出場は可能なようですが万全ではないことを考えると、タウンズがコートからいなくなってしまえば、インサイドの主導権を完全に明け渡すことにもなりかねません。タウンズには激しく戦うと同時に冷静なプレーでウェンバニャマを上回ることが求められます。