ザイオン・ウイリアムソン

「このチームのビジョンを100%信頼している」

ペリカンズは26勝56敗の西カンファレンス11位でシーズンを終えた。今年の1巡目指名権は手放しており、負ける意味はなかったにもかかわらず、前年の21勝からの上積みはわずか。それでもドラフトに期待するしかなかった1年前よりもチーム状況は好転したと言える。

1巡目7位指名のジェレマイア・フィアーズ、1巡目13位指名のデリク・クイーンがルーキーイヤーに結果を残し、2年目のイブ・ミッシとともに長くチームを支える戦力となった。ケガを抱えた状態で獲得したサディック・ベイが復活を遂げ、5年目のトレイ・マーフィー三世は着実に成長を続けて攻守を引っ張るリーダーとなった。

そして何より、ザイオン・ウイリアムソンが良い波をつかんだ。リーグ25位の21.0得点、5.7リバウンド、3.2アシストと目立つスタッツを残したわけではないが、今までよりずっと高い強度でプレーしつつ62試合に出場した。フィールドゴール成功率60.0%は7位で、20得点超えの選手ではヤニス・アデトクンボ(62.4%)に次ぐ2位。しかしアデトクンボは36試合1039分しか出場しておらず、62試合1841分プレーしたザイオンの安定感と効率の良さが光る。

これまでのザイオンはハマった時の爆発力ではリーグNo.1でも『安定感』や『効率の良さ』とは無縁の選手だった。コンスタントに出場するだけでなくディフェンスも大きな改善を見せており、計算できるオールラウンダーへと変貌しつつある。

ザイオンは健康を保てた理由を、トレーナーやメディカルスタッフ、医師がチーム一丸となって取り組んだ結果だと語る。

「僕に合った身体のメンテナンス方法をようやく見つけ出し、それが成果に繋がった。単にプレーできただけでなく不安を感じることなくプレーできた。試合を終えて『あと15分でも20分でプレーできる』と感じることもあった。以前なら2カ月とか3カ月かかったようなケガでも2週間で復帰して、その後もコンスタントにプレーできた。僕にとっては健康維持が最大の目標だったから、そこは誇りに思っている。来シーズンは75試合に出場したいし、将来的には82試合でプレーすることが目標だ」

だが、『健康を保つ』という個人の目標は達成できてもチームは引き続き下位に沈んだ。「効率の良いプレーはできたけど、それで満足というわけにはいかない。プレーオフ進出のチャンスのない1年で、プレーインに行くことさえできなかった」とザイオンは言う。「それでも、今シーズンは序盤のコーチ交代でチームを作り直した。それで噛み合うまでに時間はかかったけど、そこからは試合を重ねるごとにチームとして成長できた」

長らく低迷していたペリカンズは変わりつつある。その象徴がザイオンの変化であり、その流れを作ったのは2025-26シーズンからバスケットボール運営担当副社長としてチーム編成を担うジョー・デュマースの手腕だ。現役時代にピストンズで2度のNBA優勝を経験し、1989年にファイナルMVPにも輝いたデュマースは、ザイオンの心を完全につかんでいる。

「僕はジョーが描いているこのチームのビジョンを100%信頼している」とザイオンは言う。「僕はプレーオフを経験していない。それが大きなモチベーションになっているし、プレーオフに行くために優勝経験のある殿堂入り選手のジョーに教えを請い、その知識を吸収したいと思っている。ジョーだけでなく他の素晴らしい先人たちにも連絡を取り、その道のりがどのようなものだったかを知ることに時間を割きたい。このオフには身体強化に引き続き取り組むし、プレーの面でも新たな取り組みをするつもりだ。具体的な内容についてはジョーと話し合っているよ」

「プレーオフに出られず、この時期にシーズン終了の会見をすることにフラストレーションを感じるけど、それは僕にも責任がある。そういう自覚は持っているよ。来年も同じ話をせずに済むように、新しい知識を学び、違うことに取り組む。アプローチを変えるべき時だと思っている」

最初の数年を除けば、ペリカンズの低迷はザイオンの不振によるものだと見られ、それがトレードの噂になっていた。だが、今のデュマースは「ザイオンをトレードするつもりはない」と断固とした姿勢を見せる。そしてザイオン自身も、デュマースの姿勢に感謝しつつ、ニューオリンズへの愛をこう語った。

「会見だから、カメラがあるからそう言うわけじゃない。オフになると多くの選手が街を離れるけど、僕はここに住んでいる。シーズン中はあまりできないけど、街に出ていろんなことをする。ここは僕の家だからね。19歳から住んでいるから、もう長いよ。契約延長については僕から持ち出せる話じゃない。だけど、チームが必要としてくれる限りはここが僕の家であり、僕のいたい場所なんだ」