クーパー・フラッグ

判定への怒りを力に変え、第4クォーターだけで24得点

今シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーは、シーズンを通して攻守に安定したパフォーマンスを見せ、ホーネッツを躍進に導いているコン・クヌッペルが当確と見られているが、ドラフト全体1位指名のクーパー・フラッグも負けてはいない。現地4月3日のマジック戦での彼は、51得点というすさまじいパフォーマンスを見せた。

前半のフラッグはフィールドゴール12本を放って成功6本、13得点と及第点の出来。その時点ではNBAで10人目の、1試合50得点超えを記録するルーキーになる気配はなかった。第3クォーターには15点前後のビハインドという展開を受けてギアを上げ、フィジカルなディフェンスを武器とするマジックの守備陣に強気に立ち向かっていく。身体の強さではフラッグも負けておらず、圧力に屈することなくリムを攻めて、高さを生かして着実に得点を伸ばしていった。

その彼に火を付けたのは、第4クォーター開始1分ほどで起きた騒動だ。リムを攻めたフラッグの背中をデズモンド・ベインが後ろから押したのだが、審判はファウルを取らなかった。目の前でこれを見逃した審判にフラッグが詰め寄ると、プレー中にもかかわらずマブス指揮官のジェイソン・キッドもベンチから飛び出して抗議に加わった。フラッグはテクニカルファウルを受け、キッドは退場処分に。その直後のプレーでナジ・マーシャルも退場となった。

この時点で92-117と勝敗は決していた。ダラスのファンは審判に盛大なブーイングを浴びせたが、試合終了まで帰ることはなかった。ここから怒りを力に変えたフラッグが、すさまじい勢いで得点を重ねたからだ。

フラッグは躊躇なく放ったトランジションスリーを決めると、パオロ・バンケロをかわしてダンクを叩き込む。決して得意ではなく3ポイントシュートを次々と放ち、このクォーターだけで6本中4本を決めた。これを警戒した相手がプレッシャーを強めると、体格を生かしたアタックでペイントエリアに侵入し、打点の高いジャンプシュートを決めていく。

キッドに代わって士気を執ったフランク・ボーゲルがフラッグを一度ベンチに戻すと、スタンドからはブーイングが沸き起こった。もっともこれは、疲れの見えるフラッグをディフェンスの間だけ休ませ、すぐに戻す采配。フラッグは残り2分に強引なアタックから放ったフローターを沈め、なおかつファウルを受けてバスケット・カウントを獲得。これで50得点の大台に乗り、ボーナススローも決めて得点は51となった。

キッドは退場処分を受けた後、ロッカールームで試合を見ていたという。「遅延があるから、コートから聞こえてくる歓声のほうが早いんだ。大騒ぎする声でクープ(フラッグ)の50得点を知ったよ」と彼は言い、「こんなことなら、私とナジはもっと退場しなきゃいけないな」とうれしそうにジョークを飛ばした。

フラッグは「楽しい試合だった。僕は勝つのが好きだから、試合の大半で10点、20点とリードされている状況は楽しめないんだけど、今日はリングが大きく見えた気がするし、チームメートも僕にボールを集めてくれた」と語る。

騒動となった判定には納得していない。「実はベインとも話したんだけど、彼は意図的にファウルをしたと言っていた。3人も審判がいて、なぜ誰も見ていないのか分からない。とにかく彼らは明らかなファウルを見逃した。言い訳のできないミスだ。だけど、こういう厳しい状況の中で自分を成長させていくしかない。相手はフィジカルに守ってくる。その力をどう逆手に取るかを学ぶ必要がある」

フラッグは自分を助けてくれたキッドとナジに感謝し、完敗の試合でも得点記録を作るべく後押ししてくれたマブスのファンに感謝した。「正直に言えば、今シーズンの僕たちは観客を熱狂させるだけのものをあまり提供できていない。それでもファンは僕たちを応援してくれて、モチベーションを与えてくれる。感謝しかないよ」

この51得点というインパクトが、彼をルーキー・オブ・ザ・イヤーに押し上げるかもしれない。「なるようにしかならない」とフラッグは言う。「僕にとって大切なのは、毎日成長することだけ。すべての試合で一生懸命プレーして、最高の自分を目指す。結果は後からついてくるものさ」