司令塔の橋本が大胆なドライブでチームに勝機を引き寄せた
NBAプレーオフファイナル。前日に行われた第1戦は東芝神奈川に先行される苦しい展開ながら、アイシン三河が後半からの巻き返しで見事な逆転勝利を飾った。試合後にはどの選手も「明日の試合では立ち上がりからしっかりやりたい」と口を揃えていた。
一夜明けて今日、そのとおりの展開が第2戦の序盤に見られた。
試合開始からゴールラッシュを見せたのはアイシン三河のポイントガード、橋本竜馬だ。ビルドアップに回るのではなく自ら積極的なドライブで仕掛け、次々と得点を挙げていく。橋本は振り返る。「別に自分が点を取ると決めていたわけではないのですが、立ち上がりから積極的に行くということはチームで決めていました」
第1ピリオドで橋本は13得点を荒稼ぎ。前日の試合ではパスの配給に徹した橋本が、一転して盛んに単独突破を仕掛けてきたために、東芝神奈川の対応は後手に回り、一人がかわされるとヘルプが来ない。アイシン三河は橋本にボールを集めてこの状況を突き、第1ピリオドで26-16と2桁のリードを奪うと、そのまま試合をコントロールする。
第1戦に続き、アイシン三河はセカンドチームがコートに出てもパフォーマンスを落とさない。第2ピリオドは11-11、第3ピリオドは20-18と、序盤に得たリードをしっかりとキープしつつゲームを進めていく。
ディフェンスも安定しており、東芝神奈川にこれと言った攻撃の形を作らせなかった。インサイドではアイザック・バッツとギャビン・エドワーズが、ニック・ファジーカスとのインサイドでの競り合いで押し勝ち、東芝神奈川最大の得点源であり、乗せてしまうと怖いファジーカスを押さえ付ける。
さらには第1戦は3ポイントシュートが当たりに当たっていた辻直人にも、ボールを受けるところからしっかりと対応し、自分の形で3ポイントシュートを放つ機会を与えない。チーム全体の攻めのリズムを作らせなかったこともあって、シューターとしての辻の持ち味をほとんど発揮させなかったと言えるだろう。
金丸晃輔はこう振り返る。「最後、東芝神奈川が3ポイントシュートで追い上げてくるのはレギュラーシーズンの戦いで分かっていたので。それもチームとして、うまく阻止できたと思います」
最初から最後までアイシン三河のペース
後半に入ってファジーカスに良い形でボールが入った時のインサイドからの攻め、ジュフ磨々道のミドルシュートで得点を挙げる東芝神奈川だが、どれも散発であり大きな流れを引き寄せるには至らない。最初から最後までペースを握ったアイシン三河が、74-65というスコア以上の強さを印象付けて勝利した。
試合後、東芝神奈川の北卓也ヘッドコーチは敗因を「メンタルの問題」と語った。「気持ちは入っているのですが、雰囲気に飲まれてシュートを打てるところで打っていない選手が何人かいます。セミファイナルまではできたことが、できなくなっている。そこはもう負けたら終わりなので、開き直ってやってくれると信じています」
2連勝を飾ったアイシン三河の鈴木貴美一ヘッドコーチも、同じくメンタルについて言及した。「両チームとも勝ちたい、最高のパフォーマンス見せたい。なので何も言わなくても気持ちは入っています。ただ、あまり気合を入れすぎちゃうと、選手も空回りしてしまう。今日は東芝神奈川がそうなって、いつもは出ないミスが出た、我々は『レギュラーシーズンの調子が良い時期』ぐらいの状態でできたと思います」
明日勝てばNBL連覇が決まるが、鈴木ヘッドコーチは慎重だ。「この2試合の勢いを生かしたいですが、あまり強く気持ちが入りすぎると良くないこともある。なのでミーティングで使う言葉には気を遣いたいです。強い言葉を使うと、選手を緊張させたり委縮させてしまうこともあるので。第3戦はまたどうなるか分からない試合なので、もう一度しっかりビデオを見て、良いところはそのまま、悪いところはアジャストして挑みます」
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