文=鈴木健一郎

明日から始まる東アジア選手権。日本代表のメンバーを見ると、Bリーグの優勝チームである栃木ブレックスからは竹内公輔、準優勝チームの川崎ブレイブサンダースからは永吉佑也と、1人ずつしか代表に選ばれていない。

栃木の古川孝敏、川崎の辻直人と篠山竜青は、代表候補に入っていたが最終メンバーには残らなかった。日本代表のチーム内競争は厳しく、どの選手も気が抜けない。そう言ってしまえば簡単だが、この3選手が代表を外れることになったのはケガが原因だ。

代表メンバー発表を前にした5月30日のメディア公開練習で、3人は別メニューでの調整を続けていた。辻は言う。「ケガです。腰の痛みが出てしまっています。最終メンバーに残るかどうかはまだ聞いていなくて、自分も発表待ちです」

発表待ちとは言うが、開幕まで1週間を切って本番想定の練習に参加していないのだから、最終メンバーからの落選は予想できた。

古川も表情は浮かなかった。「かかとのケガの再発です。セミファイナルでやってしまって、試合中はアドレナリンが出ているので気付かなかったんですが、試合後に痛みが出て」。その後の1週間は「痛いとか言ってられないので」と練習をこなし、ファイナルを戦っていた。

辻と古川は長いシーズンで身体を酷使した結果、ケガを再発させてしまった。一方、篠山はさらに残念なことにアクシデントだ。代表に合流して早速練習に参加したが、他の選手との接触で左ひじの靭帯を伸ばしてしまった。「脱臼寸前でした」と本人が言うアクシデントで、彼の今シーズンは終わることになった。

辻と古川は佐藤晃一パフォーマンスコーチの下、別メニューで身体のバランスを整えるトレーニングを続けていたが、篠山はずっと座ったまま、無念そうにチーム練習を眺めていた。

最終メンバー入りを果たしたある選手は言う。「コンディションの良い選手は一人もいません。正直、身体はキツいと言うか、みんなボロボロです。でも、代表となれば意識は切り替えられるので、勝たなきゃいけない大会でしっかり勝つつもりです」

限界を超えているのに「最終メンバーに残ったらプレーする」という気持ちで代表合宿に来た古川と辻。ファイナルでの悔しい負けをバネに代表で完全燃焼するつもりだった篠山。3人はチームに帯同しないが、その気持ちは12名の選手に伝わっているはずだ。

日本代表と言えば華やかなイメージだが、実際にはどの選手も満身創痍。それでも、日本代表の看板を背負う以上は最高のパフォーマンスと勝利が求められる。特に今大会は、韓国や中国は若手中心のチーム編成で、日本はホスト国でもある。次のステージに進むための5位というノルマは低すぎる。優勝こそが東アジア選手権での目標となる。