
ゲインズHC「私は彼女を必要としていました」
バスケットボール女子日本代表は2月20日、トルコ・イスタンブールで開催される『FIBA女子ワールドカップ予選トーナメント』に向けた強化合宿をスタートさせた。昨夏の『FIBA女子アジアカップ2025』に引き続きチームを率いるコーリー・ゲインズヘッドコーチは、22日のメディアデーでチームのスタイルである『ペース&スペース』の『ペース』の部分について、次のように説明した。
「ペースが落ちてしまうと(日本の)強みが消えてしまいます。ペースを上げるだけでなく維持し続けて、相手を『心地よくない状態』に追い込み、ミスを誘発させる。激しいディフェンスもカギです。自分たちの速いペースがそのままディフェンスの助けにもなります」
また、ゲインズヘッドコーチは「私のオフェンスはポイントガードがカギを握っています。以前はいなかった、スピードを押し上げ、ペースを維持できるガード陣が加わったのは大きいですね」とも話したが、「以前」というのはアジアカップのこと。日本は決勝のオーストラリア戦で残り6分まで接戦を演じるも、そこから失速し敗北。その原因についてゲインズヘッドコーチは「ガード陣のラインナップで田中こころに頼る形になり、トーナメントを最後まで戦い抜く体力がもたなかった」と分析した。
そのような反省を受けて白羽の矢が立った一人が、町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)だ。先のアジア大会はコンディション不良で選出されなかったものの、そのスピーディなゲームメークは世界レベルで認知されている実力者。彼女と旧知の仲でもあるゲインズヘッドコーチは「私は彼女を本当に必要としていましたし、今ここにいてくれることが本当にうれしいです」と再びの代表へのコミットを歓迎している。
町田も指揮官と同じ気持ちのようだ。「まず、久しぶりに大会に向けた最初の練習から合流できていることは、すごいありがたいというか、うれしいです」と選出の喜びを語り、「去年からやっているメンバーもいて、そこからちょっと遅れている分、追いつかなければいけないんですがそこは徐々にやっていけばいいかなと思います」と続けた。
もちろん、ゲインズヘッドコーチのスタイルの習熟度はアジアカップ出場メンバーよりも劣るかもしれない。それでも、司令塔として誰よりも経験豊富な町田はチームを牽引する姿勢を示す。「若くて良い選手も本当に増えてきましたし、自分も学べるところはあると思うので、そこは学んでいきたい気持ちがあります。ポイントガードとしては一番上(の年齢)になるので、チームを引っ張っていけるようにやっていきたいと思っています」

「どれぐらいのペースでやるのが一番いいかは練習でつかんでいきたい」
今回の合宿では全員が自分のロール(役割)を話す場面があり、町田は「まずはゲームのペースをしっかり作ること。あとはチームメートの武器をしっかり生かせるようにゲームマネジメントをします」と発言したようだ。そして、ゲインズヘッドコーチのスタイルについて「ペースを上げるバスケットだと思うので、私自身に合っている」と自信をのぞかせた。
高さで劣る日本がスピードを強調するのは当然の選択だ。それでも、単にペースを上げればいいわけではなく、緩急やプレーの正確性が必要で、「ただ、速すぎて判断ができないことにならないように、ペースコントロールはやっていかなきゃいけない」と町田は言う。
「スピードだけを速くしてしまうと、ディフェンスがどういう守り方をしているか(を確認できなかったり)、自分が空いているのに気づかないで次を見てしまったりするケースがあると思います。速くて判断できることが一番良いとは思うんですけど、速い分、判断のミスも増えると思うので、どれぐらいのペースでやるのが一番いいかは練習でつかんでいきたいです」
町田は今シーズンのWリーグで3年連続のアシスト王(平均8.77)に輝いた。それでも「今シーズンはちょっとミスが多かったです。チャレンジとなるパスをするべきなのか、止めるべきなのかという判断も、しっかりとやっていかないといけない」と語った。
通れば得点に直結するパスであればあるほど、そのパスを通す難易度は上がり、ターンオーバーにも繋がりやすい。ハイテンポな中でも町田がこの判断の質をさらに高めることができれば、チームが掲げる『ペース&スペース』の破壊力は増す。指揮官からの期待値も高いポイントガードが、ゲインズジャパンのさらなるアップデートに必要なピースであることは間違いない。