ケイド・カニングハム

指揮官ビッカースタッフはカニングハムをMVPに推す

昨シーズンのピストンズは6年ぶりのプレーオフ進出を果たすも、ファーストラウンドでニックスに2勝4敗で敗退した。初戦は第4クォーターで40失点を喫しての大逆転負け。その後は接戦を落とす惜しい試合が続いたが、これはプレーオフを勝つだけの勝負強さがピストンズになかったことを示していた。

その課題を、今シーズンのピストンズは見事な形で乗り越えた。オールスターブレイク明けの現地2月19日、マディソン・スクエア・ガーデンでのニックス戦に126-111で快勝。これでレギュラーシーズン3度のニックス戦に全勝するスウィープとなった。

『接戦を勝ちきる』という意味では、証明できていないのかもしれない。対ニックス戦の3勝は31点差、38点差、15点差と大勝ばかりだからだ。しかし、昨シーズンのプレーオフ初戦のような過ちを二度と繰り返さなかった点は評価できる。

「ニックスのような素晴らしいチームをスウィープした意味は大きい。タイブレークも得られた」と言うのはケイド・カニングハムだ。これで東カンファレンス首位のピストンズは41勝13敗、3位のニックスに7ゲームの差を付けた。

この試合、カニングハムは42得点8リバウンド13アシストの大活躍。フィジカルの強いOG・アヌノビーでも俊敏なミケル・ブリッジズでも、誰がマークしても得点のペースは落ちなかった。激しいプレッシャーを掛けられてもバランスを崩すことなく、駆け引きの中で作ったわずかなスペースを使って姿勢良く放つジャンプシュートを決めていく。ピック&ロールにアンダーで対応されれば3ポイントシュートを決め、ダブルチームに来ればロールするチームメートにアシスト。相手ディフェンスを無力化するタッチダウンパスやアリウープもあった。冷静沈着に敵と味方の動きを見ているかと思えば強引にリムを攻める場面もあり、ミッチェル・ロビンソンとカール・アンソニー・タウンズの間を割ってのダンクも決めている。

カニングハムは「シュートがリングにすんなり通った。今日はそういう日だった。ニックスにはサイズもリーチもある、レベルの高いディフェンダーが揃っている。そういう時こそアグレッシブに攻めなければいけない」と語った。

ディフェンスではフィジカルの優位を生かしてブランソンを止め、アヌノビーのダンクを背後からブロックした。試合のすべての局面において、カニングハムはMVP級のパフォーマンスを見せた。

ピストンズを率いるJ.B.ビッカースタッフは、以前からカニングハムをMVPに推している。「今日だけが特別ではない。今シーズンは開幕からずっとこのレベルでのプレーを続けている」と指揮官は言う。

「MVPは1試合の活躍やインパクトのある数字で決まるものではない。シーズンを通して、攻守の両方で試合を支配し、チームを勝たせてきた選手に与えられるものだ。今日の活躍も、シーズンを通して彼が見せているパフォーマンスの一つに過ぎないと私は言いたい。スタッツでカニングハムを上回る選手はいるだろうが、スター選手とは意味のないスタッツを稼ぐのではなく、チームに勝利をもたらす影響力を持つ選手のことを言うんだ」

カニングハムはキャリア5年目の24歳。まだ若いが、選手として完成の域に近付いている。このままピストンズが首位を快走し続ければ、MVPは現実的な目標となるはずだ。