「誰が何と言おうと、自分の価値は自分で決める」

ピストンズは約20年ぶりにNBAのトップチームへと返り咲いた。6年連続でカンファレンスファイナルに進んだ2000年代前半のチームが解体された後、勝率が5割を超えてプレーオフに進出したのは3度だけ。2016年、2019年のプレーオフ進出は継続性がなかったが、昨シーズンに44勝を挙げたチームは成長を止めず、今シーズンは東カンファレンスの首位を独走している。

ケイド・カニングハムを筆頭に若いタレントが多く、ドラフト指名権も多数ある。トレードデッドラインで大型補強もできたが、伸び悩んでいるジェイデン・アイビーを放出し、チームに足りない3ポイントシュートを補うケビン・ハーターを獲得と、動きは最小限に留めた。編成を担う球団社長のトラジャン・ラングドンは、「今のチームのアイデンティティを保ちつつ、成長を継続させることを選択した」と説明している。

それと同時に、ピストンズは2ウェイ契約だったデイニス・ジェンキンズに標準契約を与えた。24歳のジェンキンズは昨シーズンこそGリーグが主戦場だったが、今シーズンはピストンズに定着してカニングハムに続く2番手のポイントガードとして活躍している。カニングハムが欠場する試合では先発も任されており、プレーオフでの起用を想定すれば2ウェイ契約のままにはしておけなかった。

実績で上回る相手に闘志剥き出しで食らい付いていくが、それと同時に頭の一部ではコート上のすべての出来事を把握し、正しいプレーを選択する。仲間が良いプレーをすれば大きなアクションで盛り上げ、相手選手には強烈なトラッシュトークをかます。高校でも大学でもエリートではなく、NBAでもドラフトでは指名されずにGリーグからキャリアをスタートさせたが、彼はいつも自信満々だった。

現地2月6日のニックス戦を終えての会見で、これまでのキャリアについて質問されたジェンキンズは「正直に言うけど、大学時代を振り返っても、ドラフトされた選手と自分との間に差は感じなかった」と語り始めた。

「僕は謙虚な人間だけど、指名されなかった時には唖然としたし、『誰かその理由を教えてくれよ』という感じだった。僕はずっと過小評価されてきた。それを覆すために戦ってきた。ドラフトで指名されなかった悔しさは、今でも毎日僕の中で燃え続けている。だけど、自分がNBAプレーヤーに値することはサマーリーグの最初の試合から分かっていた。今回の標準契約も、いつか必ず手に入ると信じていた」

この日のニックス戦では主力を複数欠くライバルを序盤から圧倒し、118-80の大勝を収めた。主力のプレータイムが伸びずに済む楽勝の展開で、ジェンキンズは18分の出場でフィールドゴール11本中7本成功の18得点を挙げ、チームの勝利に貢献している。

「層の厚さを証明できた。ベンチメンバーがチームに勢いを与え、勝利をつかみ取れるのは素晴らしいことだ」とジェンキンズは言い、チームの一体感を強調する。

「スターターもセカンドユニットも、その後に交代で出たメンバーも、全員がゲームプランを遂行した。お互いに通じ合い、一つの目標に向かって集中できているのが成功の秘訣だと思う。今日のように『ピストンズのバスケ』を体現できている時は本当に楽しいよ。コート上の5人が同じ目標のために頑張る。それがバスケの本質だし、楽しさだからね」

ジェンキンズは今もルーキー時代と変わらず、誰よりも早く練習場に来てストレッチをし、朝食を食べてシューティングをする。チームメートが集まる頃には準備完了。その後はNBAでの先輩たちがどんな練習をして、どのように身体のケアをするかを観察し、コーチを質問攻めにする。自分が信じる「NBAレベルで長く生き残るための方法」を決して疎かにはしない。

「不可能なんてない」とジェンキンズは言う。「誰が何と言おうと、自分の価値は自分で決めるものだ。圧倒的な努力を日々積み重ねていけば、道は開けるものだよ。僕はこれまでずっと『お前には無理だ』と言われ続けてきたけど、その言葉で心の火を燃やしてきた。自分の物語は自分で書くのさ」