アンソニー・デイビス

ウィザーズではトレイ・ヤング&デイビスのコンビ誕生

1年前にルカ・ドンチッチ放出を決めた際、ニコ・ハリソンGMはアンソニー・デイビスを中心とするフロントコートの力で優勝は狙えると強弁した。しかし、彼はデイビスのケガの多さを軽視していたし、ファンの怒りを甘く見てもいた。新たなチームが機能しないと分かると、彼はすぐさま解雇された。

マブスはその後も『フロントコートの力で勝つ』という方針を維持してカイリー・アービングの復帰を待っていたが、それもデイビスのトレードで終わりを迎えた。

現地2月4日、マブスはウィザーズとのトレードに合意し、デイビス、ジェイデン・ハーディー、ディアンジェロ・ラッセル、ダンテ・エクザムを放出。見返りとして1巡目指名権2つと2巡目指名権3つ、クリス・ミドルトン、AJ・ジョンソン、マラカイ・ブランナム、マービン・バグリー三世を獲得する。

明確なのは、マブスが『フロントコートの力で勝つ』の方針を捨て、クーパー・フラッグを中心とした再建に入るということだ。デイビスの放出は、彼が望む契約延長を受け入れないとの判断から始まった。

トレードで獲得したミドルトンは年俸3300万ドル(約45億円)の契約最終年を迎えており、ブランナムもバグリー三世も契約は今シーズン限り。AJ・ジョンソンも来シーズンの契約は320万ドル(約4億8000万円)と安く、サラリーの柔軟性は大幅に上がる。

一方で1巡目指名権2つに見た目ほどの価値はない。1つは2026年の1巡目指名権だが、その順位はクリッパーズ、ロケッツ、サンダーの最も不利なもので、25位より良いものになる可能性はほとんどない。もう1つはウォリアーズの2030年の1巡目指名権だが、これは20位から30位でのみ譲渡される。ステフィン・カリー引退後のウォリアーズが上位10チームになる強さを保てるだろうか? 譲渡されない場合は、2巡目指名権に置き換わる。

それでもキャップの柔軟性は、今のNBAでは大きな価値を持つ。マブスが望めば、今年のオフに他のチームが抱える不利な契約を引き受けることで、良い指名権を得られるだろう。

マブスの問題は別のところにある。マブスが全体1位指名権を引き当ててフラッグを獲得できた一番のメリットは、大物ルーキーが弱小チームではなくプレーオフを戦う強豪で経験を積めることだったが、それは失われてしまった。マブスは現在19勝31敗、プレーインまで3.5ゲーム差の位置にいるが、もう戦う意義は失われてしまった。

ウィザーズは額面通りの価値がない1巡目指名権2つでデイビス獲得に成功した。ただし、ウィザーズのチーム作りは相変わらず目的が見えず、場当たり的に動いているようにしか見えない。ジョン・ウォールとブラッドリー・ビールの黄金期が終わった後、八村塁にデニ・アブディヤと自分たちが育てたタレントを放出し、その間に成績は落ち続けている。

そして今回は、キャップの柔軟性という資産を失った。先に獲得済みのトレイ・ヤング、そしてデイビスをチームの中長期プランに組み込むのであれば、落ち目とは言えオールスターに値する新契約を結ぶことになる。そうなれば今の若いタレントを引き留めなければいけない数年後に問題を抱えるだろう。ヤングもデイビスも今後のプランに入っていないとしたら、このトレードは何のために行われたのだろうか?