
「今日は僕がシュートを決める日でした」
琉球ゴールデンキングスは、オールスターブレイク明け、千葉ジェッツとのアウェー戦で価値ある連勝を達成した。ゲーム1は3ポイントシュートを35本中14本成功(40.0%)させたように、シュートタッチが良く92-61と快勝。一方、ゲーム2は長距離砲が22本中3本成功(13.6%)と不発に終わるが、最後まで我慢強く戦い抜くことで残り5分半から13点のビハインドをひっくり返し、65-63の劇的勝利を収めた。
琉球のエースであるヴィック・ローは、ゲーム2で試合時間残り2秒に勝ち越し弾を沈めるなど24得点11リバウンド3アシストに加え、ターンオーバーはゼロと大活躍をして勝利の立役者に。試合終了後、次のように今回の連勝について語る。
「(ベスト8で敗退した)天皇杯の後、みんなが『何かを変えないといけない』、『もっとハードにプレーしないといけない』ということは分かっていました。オールスターブレイクがありましたけど、ブレイク明けにはとても強い千葉ジェッツと対戦するので、リラックスする時間はなかったです。この2試合を勝つにはチームが団結して、全員が良いプレーをする必要がありました」
「今はとてもいい気分です。今シーズン、ここまで浮き沈みがありました。いくつかの障害があり、苦しい時期もありました。ただ、今は全員が健康で、こうして強く戻ってこられたことをうれしく思います。ここから連勝を重ねていきます」
そして圧巻の勝負強さを見せた自身のプレーについては、「試合の入りは苦戦したけど、チームメートであり、この組織が僕を信頼してくれていることは分かっています。今日は僕がシュートを決める日でした。ただ、次の試合は他の誰かの日になるかもしれないですね」と振り返る。
今シーズンの琉球は、レギュラーシーズン前半戦を18勝12敗で終了。勝率6割は及第点の成績と言えるが、4年連続でファイナル進出中の常勝チームに対する周囲の期待は常に大きく、僅差とはいえチャンピオンシップ圏外でシーズンを折り返したことで、『今年の琉球は調子が悪い』と懐疑的な声も少なくなかった。特にローは琉球のエースとして矢面に立ち、勝てば称賛を多く浴び、負ければその分、批判を浴びやすい。

「良いことも悪いことも受け入れて前に進んでいくだけ」
こういう周囲の見方をノイズとして遮断するか、『見返してやる』とモチベーションにするのか2つの選択肢があるが、ローは「間違いなくモチベーションになっています」と語る。
「プロである以上、良い試合もあれば悪い試合もあります。僕個人については、結果が出ないと『シュートを打ちすぎ』とか『ハードにプレーしていない』、『キングスのバスケをやっていない』と言われます。一方で良いプレーをすれば『君こそがベストプレーヤーだ』と称えられます。プロならば浮き沈みがあることを理解し、それを受け入れる強いマインドセットが必要です。素晴らしいシーズンもあればそうでないシーズンもある。毎年違うことは、バスケットボールの素晴らしさだと思います」
「特に今シーズンはチームが団結して、強い絆で繋がる集団であり続ける必要があります。昨シーズンだって、(ファンを除けば)僕たちがリーグファイナルに進んだり、天皇杯で勝つと予想する人は皆無だったと思います。今年も人々が『僕たちは好成績を残せるチーム』と見ていないなら、その見解は僕たちが前進を続け、勝利を積み重ねていくためのモチベーションとなります」
エースだからこそ、チームの結果が悪い時は批判の的とされやすい。だが、ローは「自分の立場をとても幸運だと思っています。今シーズンがBリーグ4年目ですが、これまで毎年、天皇杯かBリーグのどちらかのファイナルでプレーする機会に恵まれています。天皇杯の三河戦は受け入れがたい敗戦だったけど、もしかしたら今回、千葉Jに2回勝つためにはあの敗戦が必要だったかもしれない。良いことも悪いことも受け入れて前に進んでいくだけです」と、周囲のどんな声にもブレない芯がある。
今回の連勝は琉球にとって大きな価値があるが、上位争いは続く。このタフな戦いを勝ち残っていくために何よりも必要なモノを、球団だけでない地域を含めた琉球に関わる人々の『信頼』とローは強調する。「キングスファンは僕たちを信じてくれている。これこそが僕たちにとって欠かせないモノです。ファンだけでなくメディアを含めた沖縄の皆さんは、一緒にキングスを信じてほしい。そしてキングスに関わる僕たち全員が、自分たちを信じ続けることが何よりも重要です」
琉球は長らく『団結の力』というスローガンを掲げ、ファン、地域との絆をチームのアイデンティティとしている。この結束をより強める存在として、闘将ローの情熱は欠かせない。