淺野ケニー

「ポジション関係なく自分のプレーをやるだけ」

群馬クレインサンダーズはレギュラーシーズン前半戦を1911敗、東地区4位で折り返した。天皇杯とオールスターによる中断期間が明けた第19節はホームで滋賀レイクスと対戦。1月24日の第1戦、25日の第2戦ともに92-76で連勝し、後半戦に弾みをつけた。

群馬は第1戦、第2戦ともに試合の入りでつまずいた。第2戦は滋賀の激しいディフェンスに苦戦して、開始3分半で4つのターンオーバーを喫し、無得点が続いた。加えて、大黒柱であるケリー・ブラックシアー・ジュニアも開始211秒で2つのファールを犯し、ベンチに下がらざるを得なかった。辻直人やトレイ・ジョーンズの活躍で巻き返し、18-19で第1クォーターを終えたが、決して良い立ち上がりとはならなかった。

試合が動いたのは第2クォーター。チームの大きな得点源となっている3ポイントシュートを8本中5本沈めてリードを築き、このクォーターで31得点を奪い主導権を握った。特に奮闘を見せたのが淺野ケニー。このビッグクォーターで621秒コートに立ち、チームに良い流れをもたらした。

2週間前に開催された天皇杯では、帰化選手がいないチーム状況もあり、淺野にはインサイドプレーが求められた。大学時代まではパワーフォワード登録だったが、群馬に来てからはウイングを担うことが多かった淺野にとって、簡単ではない役回り。しかし、大会を通してこれを見事に遂行してチームを支え、惜しくも延長で敗れたアルバルク東京戦で3337秒プレーした淺野の奮闘は、記憶に刻まれるものだった。

この滋賀戦でも、ビッグマンのブラックシアー・ジュニアの出場時間が伸びない中、淺野はウイングを主戦場とするトレイ・ジョーンズやテレンス・ウッドベリーと併用された際には、インサイドのディフェンスやリバウンドでチームを支える活躍を見せた。しかし、淺野はポジションにとらわれずに、自身の役割を遂行することに徹していたと明かす。

「(群馬のオフェンスは)4アウトや5アウトみたいな感じなので、僕がインサイドでポストプレーをする必要はないですし、(ウイングの選手との併用は)チームとしてラインナップの話なので、自分のポジションは意識していません。自分のオフェンスでの役割のメインはカッティングからの合わせやシュートで、ポジション関係なく自分のプレーをやるだけです」

それは、群馬のカイル・ミリングヘッドコーチから今シーズン始まる前から提唱しているポジションレスバスケに通じる考えだった。淺野もチームと足並みを揃えて、手応えを感じている。「ディフェンスではガードにつくことが多いですが、スイッチのコールがあれば(ビッグマンともマッチアップ)するので、良い意味でポジションレスなバスケットができています」

淺野ケニー

「呼ばれたときに良いメンタルでコートに立ちたい」

この試合での淺野のスタッツは、1223秒の出場で2得点3リバウンド1アシスト1ブロック。数字だけを見れば目を見張るものとは言えないかもしれないが、個人の得失点差を表す「+/-」はチーム最多の+16を記録した。

今シーズンのレギュラーシーズンで淺野が10分以上出場した試合は、この試合を含めて9試合あり、その成績は81敗。敗れたのは、インサイド選手が揃わなかった富山グラウジーズ戦のみで、淺野が長くコートに立った試合で群馬は勝っている。淺野も「天皇杯もですが、長くプレータイムがあればやれることは、ある程度証明できたと思っています」と自身のプレーがチームに貢献できている手応えを感じている。

2クォーターの活躍ぶりを見れば、後半も出場機会は増えるかと思ったが、予想に反して331秒と伸びなかった。そのことを淺野に問うと「もう少し出たいなと思っていました」と正直な気持ちを明かしたが、「良い準備をして、呼ばれたときには良いメンタルでコートに立ちたいです」と前向きに捉えているようだ。

さらに、リーグ中断期間中にはクラブにとっても淺野にとっても嬉しいニュースが入ってきた。東海大の十返翔里が特別指定選手として加入となった。昨シーズンも群馬で練習生として加入し、最終的に特別指定選手契約に至った十返と、彼と年齢が一番近い淺野の仲の良さは周知の事実となっている。

十返の加入について淺野に聞くと、笑みを浮かべながら自身にとって良い影響があると言う。「彼とは練習でも同じチームでやることが多いので、自分から主体的にやれる良い機会だなと思っています。いつもは自分が一番年下で、まわりに引っ張ってもらっていた立場ですが、自分が主導でできることも増やしていけたらなと思っています」

連勝も束の間、水曜日にはレバンガ北海道、週末には宇都宮ブレックスと同地区の上位にいるチームとの直接対決が待っている。いずれもアウェーゲームで簡単な戦いにはならないと予想されるが、チームの士気は高い。

「北海道はすごく良いなので、ここを叩ければ1個、そして宇都宮にも勝ったらもう2個上がっていけます。すごい大事な試合で、全員が燃えてるので、昨日今日と違って良い入りをして全員で戦っていきます」

群馬でプロキャリアをスタートさせた24年12月にインタビューした際には「スコアラーになりたい」と語っていた淺野。未完成のルーキーは発展の途中で、まだまだ伸び代を残している。チームにとってより大きな力となるために、淺野の挑戦はこれからも続く。