
「キャプテンとして、みんなを引っ張る努力をしました」
『第92回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会』でENEOSサンフラワーズは3大会ぶり、通算28度目の栄冠に輝いた。
チームリーダーの宮崎早織が今シーズン限りでの引退を表明しており、彼女にとって現役最後の皇后杯で優勝できたのはチームにとっても大きな意味がある。そして、2024年に移籍をした渡嘉敷来夢を筆頭にWリーグ11連覇、皇后杯10連覇を支えた中心選手が揃ってチームを去り、世代交代を行った中でのタイトルは新たな時代のスタートを印象付けるものとなった。
新しいENEOSを支えていく存在となるのが、今シーズンからキャプテンに就任した星杏璃だ。昭和学院高からENEOSに加入して7シーズン目となる星は、2022-23シーズンから主力に定着。日本代表でも出番を増やす中、2024年2月のパリ五輪最終予選の直前に左膝前十字靭帯を断裂する大ケガを負ってしまう。しかし、見事に復活を遂げて、昨夏の『FIBA女子アジアカップ2025』で代表復帰も果たしている。
今大会もアグレッシブなドライブによって攻撃の起点となり、守備でも前からの激しいプレッシャーで大きく貢献した。「星の存在が本当に大きいです。今シーズン、彼女の成長を感じられています」と宮崎も称える活躍を見せた。
数年前の星は経験豊富なベテランの後をついていく立場だったが、今は若手を引っ張る立場となり、メンタル面でも頼もしさを見せる。優勝会見の席で、2年目の八木悠香が先輩たちへの感謝を述べながらうれし涙を流したのを見て、こう語る。
「八木の言葉を聞いていて、自分も前回の皇后杯に優勝した時、会見の場で泣きながら『お姉さんたちのおかげです』と言ったことを思い出して、自分も泣きそうになってしまいました。今年初めてキャプテンをユラさん(宮崎)と一緒に務めさせてもらっていますが、シーズンが始まってからは上手くいかないことがすごく多かったです。皇后杯でずっと接戦を勝ち続けられたのは、ダンさん(馬瓜エブリン)とユラさんの経験と声がけが大きかったです。自分もキャプテンとして、みんなを引っ張る努力をしました。それが良い形となったことはすごくうれしいです」

「初心を忘れずアグレッシブにプレーしよう」
そして星と共に、新たなENEOSの要となっていくのが田中こころだ。桜花学園から加入し今シーズンが2年目の田中は、昨夏のアジアカップでは日本代表のエースとして躍動したのが記憶に新しい。今大会も決勝のここ一番で3ポイントシュートを決めるなど、非凡な得点力と卓越したスキルを披露した。そして田中の魅力はそれだけに留まらない。
「伝統あるチームで、本当にすごいなとリスペクトを持って入りました。ここまでなかなか、勝てずに日本一になることの大変さを実感してきました。だからといって変に、優勝しないといけないという風には一度も思ったことはないです」と語り、常勝軍団ENEOSの次代を担う選手として大きな期待を受ける中でも、自然体でプレーができるメンタルの強さも持ち合わせている。
「特に今は2年目なのでプレッシャーを感じずにいられます。自分らしくプレーをすればベテランの皆さんと同等にやれる。日本一に対して気負うことなく、初心を忘れずアグレッシブにプレーしようと心がけていました。コートに出ている以上は、自信を持ってやることが一番大事です。失敗しても良いから、自分らしいプレーをやるだけと思っていたので、それができて良かったです」
ENEOSにとって常に目標は皇后杯とWリーグの2冠であり、今回の皇后杯奪還で満足することはない。現在、Wリーグではレギュラーシーズン残り6試合で4位に2ゲーム差の5位と、上位4チームが進むプレーオフ出場の圏外だが、十分に逆転可能な位置にいる。ここから巻き返しを図るには皇后杯優勝という確かな結果で得た自信を糧に、星や田中を筆頭として若手のさらなるステップアップが欠かせない。