大接戦を制してBリーグ初代王者の称号を勝ち取ったのは栃木ブレックス、田臥勇太「こんなにうれしいことはない」

2017/05/27
Bリーグ&国内
1083

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「リバウンドを制する者は試合を制す」通りの試合展開に

全体勝率1位の川崎ブレイブサンダースと、激戦の東地区を制した栃木ブレックス。今日、1万0144人を集めた代々木第一体育館で行われたBリーグのファイナル、終盤までもつれる大混戦を制したのは栃木だった。

川崎は第1クォーターがオン・ザ・コート「2」で、篠山竜青、辻直人、長谷川技、ライアン・スパングラー、ニック・ファジーカスが先発。「1」を選択した栃木は田臥勇太、遠藤祐亮、古川孝敏、竹内公輔、ライアン・ロシターが先発した。

立ち上がり、栃木にとっては苦しい展開だった。篠山のドライブ、スパングラーへの合わせ、辻の3ポイントシュートと、うまく崩されて得点を奪われる。最も警戒すべきファジーカスには竹内とロシターのダブルチームで対応して止めたものの、開始わずか4分でチームファウルが5に到達。それでも、ここから得意の粘りを発揮して、最後は須田侑太郎が難しい3ポイントシュートをねじ込み、21-21の同点で第1クォーターを乗り切った。

第2クォーターに入ると栃木はオン・ザ・コート「2」のメリットを生かし、ジェフ・ギブスがジュフ磨々道との1対1から優位を作り、流れを呼び込む。守備ではファジーカスに2本連続でポストプレーからの得点を奪われるも、3本目のポストに入れるパスをギブスがカットし、流れを断ち切った。さらには2本の3ポイントシュートを含む10得点を挙げた古川の『爆発』もあり、栃木が43-37とリードして前半を折り返した。

ファジーカスがリズムを上げると、試合は川崎のペースに

第3クォーター、それまで徹底したマークに苦しみ、シュートタッチも決して良くなかった川崎のエース、ファジーカスが目覚める。ロシターのフィジカルなディフェンスにファウルがコールされないことに明らかにイライラしていたが、次第にアジャスト。

一人でギブスを止めなければならなかった第2クォーターには散々にやられた磨々道が、ディフェンスにリバウンドに奮闘し、巧みな動きでファジーカスをサポート。こうしてファジーカスがノッてきたことで川崎が逆転に成功する。

それでも、大逆転劇を繰り返してきた栃木は、59-63でスタートした第4クォーターで底力を発揮する。ギブスが疲れを感じさせない動きでインサイドに繰り返し飛び込み、川崎の守備網を突き破る。

また、層の厚さもここで見せ付けた。残り6分33秒、ロシターがファウルトラブルでベンチに下がると、代わって入ったトミー・ブレントンが絶妙なパスで古川のジャンプショットをアシスト。エースを下げざるを得ないピンチで、逆に70-69と逆転するビッグプレーだった。

ただ、川崎も一歩も引かない。本来のシュートタッチを取り戻したファジーカスが得点を量産。激しい当たりで止めにかかるディフェンスを逆手に取ってファウルを誘い、この試合13本のフリースローをすべて決める驚異的な働きを見せる。こうしてリードチェンジを繰り返す、大接戦の終盤となった。

ギブスが奮闘、特にオフェンスリバウンドがカギに

最終的に敗者となった川崎の司令塔、篠山は後半の展開をこう悔いる。「前半でニックの得点が伸びていなかったので、第3クォーターはニックのローポストで得点を入れさせたいと思って、それがうまく行ったんですけど、ニックばかりになってしまった。そこでピック&ロールに戻したりもするべきだった」

立ち上がりの川崎は、ファジーカスが当たっていなかったにもかかわらず篠山が自身のアタックと的確なパスで、チームとしてはきっちり得点を伸ばしていた。それが終盤はファジーカスばかりになってしまい、栃木を振り切ることができなかった。

栃木を率いるトーマス・ウィスマンはハーフタイムの指示をこう明かす。「ポゼッションがこのチームが勝ててきた要因。そこに集中しようと話しました」。拮抗した展開が崩れたきっかけはリバウンド、特に栃木のオフェンスリバウンドでポゼッションを引き寄せたことだった。

第3クォーターまで4つしか取れていなかったオフェンスリバウンドが、第4クォーターだけで7つ。うち4つをギブスが取っている。ギブスはインサイドをゴリゴリと力で押し、リバウンドを取って攻撃機会を増やし、試合の流れを呼び込んだ。残り2分19秒、2度のオフェンスリバウンドを取ったギブスが『3度目の正直』で得点を奪い、80-77とわずかながら川崎を突き放す。

勝利を喜ぶ田臥「こんなにうれしいことはない」

82-79で迎えた残り1分。タイムアウトを取った直後の川崎にミスが出た。篠山がスパングラーを狙ったアリウープ・パスが届かずターンオーバーに。このチャンスを田臥からギブスへと展開、難しいリバース・レイアップをきっちり沈めて得点につないだ栃木が84-79と、第4クォーターに入って初めて1ポゼッション差から先のリードを奪った。

残り30秒、辻の3ポイントシュートがリングに嫌われ、川崎はファウルゲームに持ち込むも効果はなく、85-79で栃木が接戦を制した。

殊勲のギブスは、代々木第一体育館を黄色に染めたファンへの感謝を語った。「ファンのためのチームだと思っています。黄色で染まった会場は素晴らしかった。栃木の環境は特別だと思います」。今日の勝因には「ケミストリー」を挙げた。「誰か個人ということを言わず、誰のせいにすることもなくチームとして戦えました」

キャプテンの田臥は目標であるBリーグ制覇を果たし「こんなにうれしいことはないです」と笑みを見せた。「レギュラーシーズンで勝った試合も負けた試合もあったからこそ、こういう試合ができました。どう成長していくかをチームで考えたから成長できました。チーム全員で自分たちのバスケットをやれたことが良かったです」