トレイ・ヤング

パサーの足りないウィザーズにヤングは格好の補強に

ホークスとウィザーズのトレードが成立し、トレイ・ヤングはウィザーズの新たな『チームの顔』を担うことになりました。類まれなイマジネーションでオフェンスを構築する能力が高い一方でシュート成功率には懸念があり、何よりもディフェンスが大きな弱点となるヤングですが、今のウィザーズの状況を考えると適切な補強になりそうです。

ウィザーズは2020-21シーズンを最後にプレーオフから遠ざかっていますが、その間にドラフトロッタリーで4位以内の指名となったのは2024年2位指名のアレックス・サーのみ。スパーズが3回も4位以内の指名権を手に入れていることを考えると、ロッタリーでの引きの弱さが目立ちます。それでも今回は新たなエースを獲得しながらもドラフト指名権を手離すことはなく、良いトレードとなりました。

3ポイントシュートも打てるビッグマンのサー、フィニッシュ精度を上げているキーショーン・ジョージ、ディフェンダーのビラル・クリバリー、シューターのトレ・ジョンソン、万能ウイングのウィル・ライリーと人数は揃ってきたものの、起点役となる若手はバブ・キャリントンしかいません。育成に時間を要するハンドラーの役割はヤングに任せ、各ポジションごとの育成方針を明確にできる点も重要です。

今シーズンのウィザーズはピック&ロールを中心にしたオフェンスを構築しており、ジョージがCJ・マッカラムとともにハンドラーとして得点を奪っています。ともにパサータイプではないため個人で得点を奪う形はあっても展開力が不足しており、チーム全体が機能しているわけではありませんでした。

起点の作り方や周囲のポジショニングはチーム全体に落とし込まれていたものの、プレーが構築できずに苦しくなってのミスが多く、ターンオーバーからの失点がリーグで2番目に多いという課題を抱えていました。

しかし、このオフェンスの形にヤングの展開力が加われば、ウイングはフリーでパスを受けてのキャッチ&シュートやドライブが増え、センターはロプパスなどから合わせのパターンが増えるなど、多彩なオフェンスへの進化が期待されます。同時にヤングからパスが出てくる信頼感があれば、積極的にパスを引き出す動きや、ディフェンスとの駆け引きでフリーになる動きなど、若手たちが身につけるべき動きが明確になり、それが成長をうながします。

例えばウィザーズのキャッチ&シュートでの3ポイント成功率は37%と悪くないのですが、アテンプトは23.6本と少なく、特にコーナーからはリーグで2番目に少ない7.2本に留まっています。ヤングのイマジネーション溢れるプレーメークによりアテンプトが増えれば得点力は大きく上がるはずです。

問題はヤングが若手の中で王様気分で君臨するのではなく、パスの供給役としてのプレーを徹底できるかどうか。ウィザーズで求められることは単純に得点を奪うことではなく、若手を導いて成長させるリーダーシップです。新たな環境で心機一転するヤングが、チーム全体をステップアップさせることができるのか。ホークスから放逐されたヤングにとっては、自身のキャリアを左右する新たな挑戦となります。