文・写真=丸山素行

萩原コーチ「潜在能力を半分も使ってはいないのではないか」

今春からデンソーアイリスに所属するオコエ桃仁花は、5月22日から24日の3日間に渡って行われた、U-19女子日本代表第1次強化合宿に参加した。

合宿を終えての感想をこう語る。「久しぶりにみんなと顔を合わせてとても楽しかったです。みんなそれぞれ帰ったら新人なので、そういう部分で共感できる仲間がたくさんいたので、ここに来てホッとした感じです」。自分と同じく、同年代でWリーグ1年目を迎える選手との再会はオコエに安心感を与えたようだ。

オコエはプロ野球選手のオコエ瑠偉(楽天ゴールデンイーグルス)の妹で、兄と同様に高い身体能力を持つ。ヘッドコーチの萩原美樹子もオコエの身体能力を「身体が大きいんですけど瞬発力があり、一瞬の速さが非常に速い」と評価する。

その萩原ヘッドコーチはオコエを3番、4番で起用する考えだ。その瞬発力は得意とする「ドライブで切り込んでいくプレー」で威力を発揮する。

「3番、4番は外からのシュートが打てて、ドライブもできて、中でもやらなきゃいけないので大変です」と役割の多さに困惑しつつも、「オコエ桃仁花といったらこのプレーと言われるような武器を持つ、オールラウンドなプレーができる選手になりたい」と成長に意欲的だ。

日本の生命線となるピック&ロールで、スクリーン役を担っていたオコエだが、今回の合宿で「フォワードとしてドリブルで抜いていく技を教えてもらったので、それが身に着いたと思います」と収穫を口にする。

「まだまだ自分の潜在能力を半分も使ってはいないのではないか、これから自分次第でいろんなことができると思います」という萩原ヘッドコーチの言葉があるように、まだ発展途上の選手。「筋トレもすごくやっているので、日々成長している気がします」と急成長を続けている。

世界を経験して足りないと感じた、日の丸を背負う責任

オコエは昨年のU-17世界選手権で日本代表デビューを飾った。「アメリカのチームにはプライドを持ってプレーする選手が多く、そういう部分が私にはまだまだだと感じました」と、日の丸を背負うという責任や誇りがが足りないと痛感したという。

それでも、世界を経験したことで、気持ちには変化が生じている。「ここに来たら世界を考えるので責任感が大変です。今回はやり切って終われるように頑張りたい」

3年後の東京オリンピックを見据え、萩原ヘッドコーチは「U-19はフル代表に直結するので、日の丸をつけて常に上で戦うことを意識してほしい」と、選手たちの意識改革に期待を寄せる。

A代表への気持ちを聞かれたオコエは「目標は高く、なんですけど」と前置きをして、「まずはデンソーで結果を出してから、代表に選ばれるように頑張りたいです。まだ始まったばかりなのでとりあえずは『低く確実に』行きます」と控えめなコメントを残し、ナショナルトレーニングセンターを後にした。

デンソーでの練習と代表活動がオコエの成長速度を高めている。ワールドカップで結果を残し、自分の潜在能力を最大限に発揮できるようになった先には、A代表の座が待ち受けている。