
「彼のような特別な選手がケガをするのは胸が痛む」
現地12月29日、ナゲッツは敵地でヒートに123-147で敗れた。シーズン32試合目にして初の連敗となったが、黒星の何倍も痛いのがニコラ・ヨキッチのケガだ。
前半終了間際、スペンサー・ジョーンズがハイメ・ハケスJr.のドライブを身体で止め切れずに倒れた後方にヨキッチがいた。足を踏まれた状態で倒れたヨキッチは、逆方向に伸ばした左膝を抱えて悶絶。それまでは同点だったが、ヨキッチが抜けた後半のナゲッツは60-84とヒートに圧倒されて敗れた。
ヨキッチはここまでリーグ5位の29.9得点、いずれもリーグトップの12.4リバウンド、11.1アシストと絶好調。30歳になった今、ポイントセンターとしてのスキルが完成形に至り、感情的なムラもなくなって弱点のない選手となっていた。
ナゲッツのヘッドコーチ、デビッド・アデルマンは試合後の会見で「今分かっているのは左膝をケガしたことだけ。これから検査を受ける。NBAでは避けられないことではあるが、彼のような特別な選手がケガをするのは胸が痛む」と、沈痛な面持ちで語った。
「ハーフタイムの時点でニコラの様子は確認した。ケガの状態は分からなかったが、精神状態を確認したかったんだ。ひどく落ち込んでいたし、結果を待つ不安を抱えていた。彼の気持ちは代弁できないが、ケガをしてハッピーでいられる者はいない」
「今夜は『もし彼が長期離脱になったらどうすべきか』と考え続けることになるだろう」と指揮官は言うが、「今は全員が一度深呼吸をして落ち着かなければいけない。不安やストレスがある中で無理にミーティングをしても、前向きな案は出てこない。まずは他のケガ人も含めたコンディションを確認することだ。私自身も一度深呼吸して、他の選手がケガをした時と同じように落ち着いて判断を下したい」
相棒のジャマール・マレーも、自分がケガをしたかのように落ち込み、不安を抱えていた。「真っ先に頭に浮かんだのは『僕が経験したようなケガであってほしくない』だった。ケガはバスケの一部だけど、決して見たくない光景だ。とにかく最善の結果になることを願っている」
すでにアーロン・ゴードン、クリスチャン・ブラウン、キャム・ジョンソンが離脱している状況で、ヨキッチも運が良ければ数試合を、そうでなければあまり考えたくない期間の戦線離脱となるだろう。ここまで多くのケガ人に見舞われながらも好調をキープしてきたナゲッツだが、ヨキッチ不在となれば話は変わってくる。
「誰が欠けても同じマインドセットで、今ここにいるメンバーで集中して戦っていくしかない」とマレーは言う。「ニコラはこのチームの戦術の大部分、すべてを担っている存在だ。とにかく最善の結果が出ることを待つけど、彼が戻って来るまでに全員がステップアップしなければならない。ニコラの代わりはいない。だけど『ネクスト・マン・アップ』の精神は僕たちに根付いている。大事なのは目の前の試合にどのような覚悟で臨むかだ。解決策は自分たちで見いだすしかない」