4点差の惜敗「3年生ともっとやりたかった」

『ウインターカップ2025』は福岡大学附属大濠の連覇で幕を閉じた。インターハイ王者の鳥取城北は、その大濠に準決勝で3点差で敗れた。そして、その鳥取城北を最後まで追い詰めたのが北陸学院だった。前半で22点の大量ビハインドを背負うも後半に猛追。残り3分を切った場面で2点差まで迫ったものの、61-65とあと一歩及ばなかった。

この怒涛の反撃の中心にいたのが2年生の小笠原和真だった。北陸学院が前半に挙げた17点のうち13点が小笠原だったように、小笠原以外のタッチは軒並み悪かった。後半に入っても状況はなかなか好転しなかったが、時間がたつにつれ彼の存在感は増していく。そして最終クォーターには約3分間で3本連続の3ポイントシュート成功を含む11得点を奪い、逆転勝利のムードを作り上げた。

最後は力尽きたが、小笠原は12本中8本の3ポイントシュートを成功させ、ゲームハイの32得点を奪った。8本の長距離砲は「中学校も含めて今日が最高です」と言うようにキャリアハイの数字だ。大舞台で渾身のパフォーマンスを見せたが、「3年生とやる最後のバスケになってしまって。もっとやりたかった」と、涙をこらえきれなかった。

小笠原は名古屋ダイヤモンドドルフィンズU15出身だが、北陸学院に進学したのは同じ名古屋DU15の先輩で、現キャプテンの誘いがあったからだという。「キャプテンの小野蓮太選手がいて。中学校の時から仲良くさせてもらっていました。『和真のプレースタイルに合っているよ』って言われて、それで行きました。蓮太君もシューターなので本当にひたすらシューティングをしていて、自分もそれに負けたくないと思ってシューティングもしていました。バスケットボールに対する姿勢もそうですが、本当に尊敬できるところばかりです」

乱れたシュートフォームを1年かけて改善

プロ選手でも8本の3ポイントシュートを決めることは容易ではない。高校生であればなおさらだろう。この試合でシューターとして輝きを放った小笠原だが、以前はケガの影響でシュートフォームが乱れ、全くシュートが入らなかったという。それでも、時間をかけてコーチと改善し、最高の舞台で成果を上げた。

「側弯症で痛みが出て、そこでシュートフォームが大きく変わってしまい、まったくシュートが入らなくなったんです。北陸に来て、濱屋(篤史)先生と1年かけてシュートフォームを直そうと取り組んできました。今こうやって結果が出たので。自分的にはすごいうれしいです」

この試合では結果的に得点頭となった小笠原だが、自分がエースだとは思っていない。勝つための数ある選択肢の中から、最適解を探しているだけと言う。「チームが勝てば良いと思っているので、その日にシュートが入っている選手にボールを預けるようなセットプレーをひたすら考えています。今日はたまたま自分だったので、自分がもらって最後にゲームを決めようと思っていました」

そして自身が目指す理想のガード像について、このように語った。「パスが好きなので小さい頃は米須(玲音)選手が好きでした。でもパスだけではやっていけないので、富樫(勇樹)選手のプルアップスリーとか、河村(勇輝)選手のドライブなど、いろいろな人の真似をして、最終的に自分のモノにできたら良いなと思っています」

先輩を追いかけてきた冬は終わった。今度は自身が背中を見せる番。ケガを乗り越え、進化を続ける小笠原が北陸学院の次章の主役となる。