
「とにかく集中して、アグレッシブに攻める」
クリッパーズは開幕から6勝16敗とスタートダッシュに失敗し、クリス・ポールをチームから外す荒療治に出た。その効果が出ることもなく、成績は6勝21敗まで落ち込んだのだが、風向きはようやく変わりつつある。レイカーズ、ロケッツ、トレイルブレイザーズに3連勝。そして東カンファレンスの首位を走るピストンズにも112-99の完勝を収めたのだ。
この試合、ケイド・カニングハムの粘り強いマークを受けながらも、カワイ・レナードはアタックモード全開で攻め続け、フィールドゴール26本中17本成功、17本獲得したフリースローを16本決めて、キャリアハイを更新する55得点を記録した。
堅守からトランジションに転じてカワイがイージーシュートを決めることもあれば、アイソレーションで仕留める。激しいシュートチェックは軽やかなフェイントでかわし、相手が飛び出すのを躊躇すればディープから決めた。わずかなスペースがあれば迷いなくシュートを放ち、相手がそれを強引に詰めようとすればファウルを引き出した。
カワイは試合後にこう語る。「とにかく集中して、アグレッシブに攻めることを考えていた。シュートが決まっても外れても、攻め気を失うことなく、より良いシュートを打とうとした。ディフェンスも同じで、思い切ったプレーをしたつもりだ。スティールを狙い、お互いをカバーする。そして今日はこれまでなかなか決まらなかった3ポイントシュートも決まり始めた。ずっと苦戦していた部分が上手くいって良かった」
指揮官タロン・ルーは「ようやくコンディションが上がり、本来の力を十分に発揮するだけのプレータイムを得られるようになった。健康でさえあれば、彼は間違いなくNBA屈指の選手なんだ」と、カワイの活躍を驚きはしなかった。
ジェームズ・ハーデンはチームメートを主導して、ロッカールームに戻って来たカワイを水びたしにした。「何度も50得点ゲームをやっていたと思っていたよ」と、55得点がキャリアハイの数字であることに驚き、復活のパフォーマンスをこう祝福した。
「普通、50得点ゲームをやるならもっと必死になるものだ。ところがカワイは、すごく簡単に得点を決め続けた。自分のスポットに行き、自分のシュートを打つことができれば、ディフェンスがどうマークしていようが関係ない。これはカワイだけの才能だ。彼がコンディションを整えるために、人々からは見えないところで努力する姿を見てきたから、活躍はうれしいよ」
カワイは開幕から6試合が経過した時点で足首のケガで戦線離脱。3週間後に復帰したが、しばらくは出場時間は30分以下に制限された。他にもケガ人が多く、ローテーションのやりくりに苦労していたが、ハーデンとカワイの2人が軸となれば状況は改善する。
それと同時に指揮官ルーは、ディフェンスが向上していることも強調した。「新加入の選手たちが、ディフェンスのチームルールを理解してプレーできるようになった。クリス・ダンはボールマンへの守備で良い仕事をしているし、カワイも復調してスティールが出始めた(この試合では5スティールを記録)。ブルック・ロペスもリムプロテクターとしての力を発揮し始め、今日はカニングハム相手に素晴らしいピック&ロールディフェンスを見せた。全体としてガード陣がプレッシャーを掛け、ビッグマンが身体を張り、ローテーションでシューターを抑え込んでいる。毎日の練習がようやく実を結びつつあるよ」
序盤のつまずきが大きすぎて、4連勝も大きなインパクトには至っていない。いまだ10勝21敗でジャズやマーベリックスより下の西カンファレンス13位。しかし、シーズンはまだ長く、挽回のチャンスはある。ようやく戦う体勢を整えたクリッパーズにとっては、ここからが本番だ。