キング太

優勝候補相手に19得点10リバウンドのダブル・ダブル

ウインターカップ男子3回戦、ともに世代別代表選手を複数有する開志国際と福岡大学附属大濠の強豪対決は、オーバータイムまでもつれる大熱戦となったが77-75で大濠が競り勝った。

惜しくも敗れたが、開志国際は今年9月に行われたU16アジアカップでも活躍した中心選手の2年生、ホーキンス然を故障で欠く中でも今大会随一のタレント集団を相手に最後まで互角の勝負を演じた。その立役者となったのが北村優太、キング太の3年生コンビだった。

北村は17点ビハインドで迎えた第3クォーターに18得点3アシストの大爆発を見せ、29-16のビッグクォーターを作り試合の流れを変えた。また、キングは第4クォーターでチームが挙げた15得点の約半分となる7得点を挙げる勝負強さを見せると、試合全体でも19得点5つのオフェンスリバウンドを含む10リバウンド3アシスト2スティールを記録した。富樫英樹コーチが「やっぱり北村と太の3年生ですよ。前半が終わって、あとはもう彼ら二人だと」と語る期待にしっかりと応えた。

今大会、キングは大濠戦以外にも初戦の高山西戦で13得点4アシスト5スティール、2回戦の東海大学付属諏訪戦でも24得点をマーク。昨年のウインターカップで登録外など、過去2年はほとんど試合にからめていなかったが、高校最後の大舞台で攻守にわたって躍動した。オーバータイムの緊迫した場面でもキングは、中心選手として責任を背負い果敢にアタックを続けた。だからこそ「チームを勝たせられなくて申し訳ないです」と自らを責めた。

望む形での幕切れとはならなったが、高校最後のシーズンにキングは見事なステップアップを果たした。これは自身のハードワークによって勝ち取った地位だが、「家族や仲間、応援してくれる人たちがいたからここまで頑張れましたし、この舞台に立てました」と周囲のサポートがあってこそと強調する。

「最初は試合に出て緊張していたところもありました。でも富樫先生が、自分はずっと試合に出ていなかったのに、どんなにミスをしても使ってくれました。仲間も信頼してパスをくれました。本当に感謝しています」

キング太

兄のキング開に対する思い「一緒にプロでやりたい」

あらためて高校生活を振り返ってもらうと、「まず我慢強くなりましたし、身体能力に人間面といろいろな部分で成長させてもらって感謝しています。本当に悔しいですけど、やりきりました。大濠には頑張ってもらいたいですし、開志に来て良かったと思いました」と総括してくれた。

キングの兄は横浜ビー・コルセアーズで活躍するキング開だ。すでにBリーグで実績を残している開と比較されるのは大変かもしれないが、「兄貴がすごいってことでプレッシャーもあります。ライバルと思っている兄貴が頑張っているので、自分も負けないように頑張らないといけない」と、良い意味でとらえている。そして、将来は「チームメート、対戦相手のどちらでもいいですが一緒にプロでやりたいです」と続けた。

高校入学時は165cmだった身長は180cmまで伸びた。心身ともに大きな成長を遂げたキングは「将来はチームを勝たせられるオールラウンドな選手になって、どんな役割でもこなせるチームに一人は必要な選手になりたいです。この悔しさを次に繋げます」と語ってくれた。

キングが大きな可能性を秘めていることは、このウインターカップでの活躍が証明している。いつかBリーグ入りし、兄の開と同じユニフォームを着ても、もしくは対戦相手としてバチバチのマッチアップを繰り広げたとしても、それは驚きではない。