「高さがない分、速攻やリスタートの速さを意識して」
ウインターカップの女子準々決勝、大阪薫英女学院は倉敷翠松を4つのクォーターすべてで上回る92-65の完勝を収め、ベスト4へと駒を進めた。
倉敷翠松は留学生のオルショガブサヨ アヨミポシが183cmとサイズはそれほどでもないが、走れてプレーエリアが広く、このオルショガからの展開で多彩なオフェンスを展開する。それでもマッチアップする三輪美良々がオルショガを上回ることで、序盤から薫英が主導権を握った。
三輪は177cmでサイズでは劣るが、ペイントエリアでのフィジカルな攻防ではオルショガを上回り、オルショガの上からリバウンドを取るような力強さも発揮。留学生相手にも1対1で守りきり、ヘルプを送らないことで他の選手をフリーにさせず、倉敷翠松の多彩なオフェンスを封じ込めた。
ポストプレーからの展開をあきらめたオルショガがインサイドで自ら得点を狙うようになると、三輪が守りきれない場面もあった。結果、オルショガはフィールドゴール27本中15本成功の37得点を奪うのだが、オルショガからのアシストは3つだけと伸びず、他の選手のフィールドゴールは31本中9本成功のみと、倉敷翠松が得意とする多彩なオフェンスは出せなかった。
「ダブルチームには行かず、一人ひとりが自分のマークマンを徹底して守るという形でした」と三輪はゲームプランを明かし、こう続ける。「相手はとにかく中に押し込んで高さで得点したり、リバウンドから決めたりすることが多いです。私たちは高さがない分、速攻やリスタートの速さを意識して40分間やり遂げようと考えていました」
留学生にはある程度の得点を許容しても、他の得点は許さない。そして、それ以上に点を取る。三輪はオルショガが守るペイントエリアでも臆することなく勝負を仕掛け、19得点を奪った。
「去年は全力でリングに向かい続けられなかったことが自分の中で心残りになりました。留学生を守りきれなかったことも後悔していました。その点については去年より成長できていると思います」と三輪は言う。
1年生から主力を張ってきた三輪だが、もともとインサイドでのフィジカル勝負が得意だったわけではない。1年の時は2年先輩の島袋椛がその役割を担い、三輪は自由にプレーできた。それでもこの2年は薫英の大黒柱としてプレーする重責を果たし続けている。
「実は私はコンタクトがあまり得意な方ではなくて、1年生から試合に出させてもらっていましたが、中で強くプレーすることがなかなかできませんでした。練習で安藤(香織)先生に言われたことを意識してやり続けることで、技術が身に着いた部分が大きいと思います。ポイントを押さえて練習してきたからこそです」と三輪は自らの成長を語る。
「とにかくリングに向かい続けること。そうすればディフェンスがどう出てくるかが分かります。攻め続けて相手の出方を見ながら判断しろと先生に言われているので、明日もそれを期待してください」
明日の準決勝では京都精華学園と対戦する。6月の近畿ブロック大会決勝で両チームは対戦し、薫英は延長に持ち込むも最後に競り負けた。「あの悔しい気持ちはまだ残っています」と三輪は言う。「確かに相手は『絶対王者』と言われているかもしれませんが、勝てない相手だとは思っていません。自分たちのバスケットをやりきれば、勝てるチャンスは十分にあります。それを40分間やりきりたいです」
