積極的なドライブから何度も見せ場を作るも、シュートを決め切れず
12月6日、千葉ジェッツはバイウィーク明けの初戦で名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。ともに強度の高いプレーを40分間続け、上位対決にふさわしい最後までもつれる激闘となったが73-75で競り負けた。
惜しくも敗れた千葉Jだが、リーグ随一の強力インサイド陣を擁する名古屋Dにオフェンスリバウンドで11-23、ターンオーバーで18-11と後手を踏み、フィールドゴールの本数は66-79とポゼッションゲームで圧倒的な差をつけられた。それでも最後まで集中力を切らさず、勝利まであと一歩と迫った粘り強さは、負けて強しと言える内容だった。
この試合、千葉Jの瀬川琉久は13分出場で4得点4リバウンド2アシストを記録。持ち前のアグレッシブなプレーでスタッツ以上の爪痕を残し、富樫勇樹に繋ぐセカンドガードとしての役割をしっかりと果たした。
瀬川はこう試合を振り返る。「負けてはしまいましたが、自分の課題であったターンオーバーはゼロでした。得点はもっと取れたらと思いますが、次にステップを向けて良いところもありました」
得点に関してはフィールドゴールの本数自体は7本で、持ち味の鋭いドライブからシュートを果敢に試みていた。しかし、名古屋Dの強力インサイド陣がゴール下に待ち構えている中での強引な場面も多く、2本成功のみと確率は良くなかった。
積極的か強引かは表裏一体で、結果論としてシュートセレクションが悪かったと安易に言うことはできない。だが、瀬川は「インサイドの圧はすごかったですが、自分で体勢を崩して決め切れるところを、決め切れなかっただけです。そこは課題で、ああいうシュートを決めないといけないと思いました」と厳しい自己評価を下す。
そして、トレヴァー・グリーソンヘッドコーチも期待しているからこそ、「アグレッシブにアタックしている印象はありましたが、フィニッシュの精度をもっと上げないといけない。そこは身体を当てたりして、ブロックされてもいいのでしっかりと打ち切ってほしいです」と語る。

齋藤とのマッチアップ「しっかりとゼロ点に抑えていきたいです」
バイウィーク中、瀬川は『FIBAアジアカップ2025』Window1のチャイニーズ・タイペイ戦に向けた強化合宿のメンバーに招集されたが、チームメートの富樫勇樹に齋藤拓実、安藤誓哉とベテラン勢との競争に敗れ、12名のロスター入りを果たせなかった。ホームでの戦いは地元神戸の『GLION ARENA KOBE』だったため、瀬川にとっては地元でフル代表デビューというこれ以上ない機会を逃したことになる。
「自分が目標としているのは日本代表なので、選ばれなかったのはものすごく悔しいです」と率直な気持ちを明かす瀬川だが、貴重な経験になったと得たモノも大きかったと言う。「これまでのBリーグのシーズン中の結果などを見ていたら、選ばれた選手に比べて劣っている部分がありました。合宿で拓実さん、安藤誓哉選手と一緒に練習していく中で、ベテランの日本を代表する選手は考えていることが違うなと思ったり、本当にいろいろと学ぶことができました」
まだ瀬川は高卒1年目の19歳。プロキャリアは始まったばかりで、彼には輝かしい未来が待っていると周囲は見ている。だが、世界で通用する選手を目指す瀬川は、自身の現状について「ものすごく焦っています。1日でも早く目標を達成したいと思います」と言い切る。同時にさらなる進化へ、「ただ、『目標に到達するためには足りていないよね』という部分が自分の中で明確になっています。そこは焦りもありつつ、やらないといけないことはわかっています」と、しっかりと自分の立ち位置を把握している。
日本代表の先発ガードは瀬川の掲げる目標の一つであり、だからこそ今日も何度かあった齋藤とのマッチアップは、瀬川にとってモチベーションとなる。今日の齋藤は3得点6アシストに終わったことを踏まえ、「得点をそこまで取られなかったですが、ペイントエリアに入れさせないディフェンスを身につけていかないといけないです。拓実さんは自分の目指している日本代表の先発です。明日もマッチアップすることはあると思うので、しっかりとゼロ点に抑えていきたいです」と語る。
明日の試合、千葉Jがリベンジを果たすためには、瀬川が有言実行で名古屋Dの起点である齋藤を抑えることが必要だ。
