伏兵ドゥオップ・リースが12得点「信じて打つだけ」
無敗が続く限りは、サンダーを倒すのは不可能に思えた。昨シーズンの王者は、開幕からベストメンバーが一度も揃わないにもかかわらず8連勝を記録。現地11月5日のトレイルブレイザーズ戦は、敵地でのバック・トゥ・バックの2試合目、ジェイレン・ウィリアムズとルーゲンツ・ドート、チェット・ホルムグレンを欠きながらも、第1クォーターを41-21と圧倒し、今回も「サンダー強し」の印象を与えた。
しかし、ブレイザーズは最悪の第1クォーターから立て直し、少しずつ差を縮めていく。その象徴はデニ・アブディヤで、最初のフィールドゴール11本を外したが積極性を失わず、チームハイの26得点を挙げ、さらには10リバウンド9アシストも記録してチームを牽引した。第2クォーター終盤に一度は1点差に詰め寄り、そこから突き放されるも再び食らい付き、残り4分半で逆転すると、そのままリードを守り切った。
前半のブレイザーズはフィールドゴール52本中成功わずか16本。第2クォーターに多少は持ち直していたが、フリースローでかろうじて得点を繋ぐ状況で、シュートタッチは極めて悪かった。指揮官ティアゴ・スプリッターは「確率は収束する。攻め気を失わずに打ち続けろ」と選手を励まし続けた。
最初にブレイザーズの攻めに火を付けたのはドゥオップ・リースだった。南スーダン出身の彼はNBAでなかなかチャンスを得られず、ヨーロッパなどでのプレーを経て27歳でブレイザーズと2ウェイ契約を結んだ。在籍3年目だが、過去2年で目立った活躍はなかった。
その彼が第2クォーターに出場機会を得ると3ポイントシュート3本すべてを決めて9得点を記録。シュートタッチは絶好調だったが、スプリッターの言う「打ち続けろ」を遂行し、ベンチから12得点を記録。ストレッチセンターの彼は、シュートだけでなくリムプロテクトでも奮起し、彼がコートに立っていた時間帯の得失点差は+21と、劣勢を覆しての勝利に大きく貢献した。
「苦戦している状況で出番が来たから、とにかくハッスルすることを考えていた。チームメートやスタッフが僕を信じてくれている以上、僕も自分を信じてシュートを打ち、全力でプレーするだけだ」とリースは言う。
指揮官スプリッターは、リースのオフェンスでの貢献は4本を決めた3ポイントシュートだけではないと語る。「サンダーはペイントエリアを固めようとしたが、3ポイントシュートの入るセンターがいれば広がらざるを得ない。トゥマニ(カマラ)がペイントエリアにスペースを作ってくれたおかげで、他の選手がリムを攻めることができた」
このチームに『勝者のメンタリティ』を持ち込んだドリュー・ホリデーは22得点を記録。そのうち10得点を第4クォーターに挙げる勝負強さを見せた。バックス、セルティックスで優勝を勝ち取ったベテランは、勝てないチームを強くする挑戦を楽しんでいる。無敗のサンダーを止めただけでなく、ブレイザーズにとっては対サンダーの16連敗という不名誉な記録もストップした。
「長く負け続けたけど、これからは違う。僕らが自分たちらしいエネルギーを発揮していれば、どこが相手でも楽な試合はさせない。それが僕らのアイデンティティだ。誰が出ているかは関係なく、チームとして100%の力を出す。チーム内で自信を共有し、お互いに励まし合うことができている。僕の経験上、そういうチームは強いよ」
