ヨーロッパ出身のハンドラーをドラフトで次々と指名
ネッツは2015-16シーズンからの3年連続で30勝に届かず、しかも指名権はトレードで手離している苦しい状況にありました。それでも下位指名でキャリス・ルバートやジャレット・アレンを発掘し、さらに他のチームで不要とされたジョー・ハリスやスペンサー・ディンウィディーを再生させて戦力を揃え、そこにディアンジェロ・ラッセルを加えてプレーオフチームへと成長しました。
このライジングチームに魅力を感じたケビン・デュラントとカイリー・アービングがフリーエージェントで加入。さらに若手をトレードしてジェームズ・ハーデンを獲得したことで、それまでとは打って変わりスーパースターが揃いました。
この『ビッグ3』で優勝を目指すも、スーパースター軍団は機能せず。チームに見切りを付けた彼らとの交換でドラフト指名権とともにミケル・ブリッジスやキャメロン・ジョンソン、ドリアン・フィニー・スミスといった名バイプレーヤーを集めました。こうしてスーパースター軍団からグッドプレーヤー集団へと転身したものの、このチームはプレーオフへと駒を進めることなく、トレードでさらなるドラフト指名権と交換されました。
10シーズンで3つのサイクルを回す間、成績が悪いシーズンは自前のドラフト指名権を持っておらず、指名権がある時はプレーオフに進出するチグハグぶりで、最も良くても19位とドラフト上位指名とは縁がありませんでした。
そんなネッツが今年のドラフトでは5つの1巡目指名権を持ち、新たなチーム作りをスタートさせました。そこで選んだのはロシア出身のイゴール・デミン、フランス出身のノーラン・トラオレ、イスラエル出身のベン・サラフとヨーロッパ出身のポイントガード3人。同じくガードのドレイク・パウエルとポイントセンタータイプのダニー・ウルフも含めて、ハンドラーばかりを集めました。
一般的にアメリカのガードが個人技突破からプレーメークするのに対して、ユーロのポイントガードはパスでチームオフェンスを構築していきます。デミン、トラオレ、サラフの3人は得点力に優れたエースタイプではなく、創造性豊かなプレーメークが魅力で、彼らのローテーションにより『常に魅惑のオフェンス』が期待できます。
トレードではマイケル・ポーターJr.とヘイウッド・ハイスミス、テレンス・マンとオフボールで仕事のできるタイプを獲得しており、チームの方向性は明確です。ルーキーたちはNBAのフィジカルに苦戦することが予想され、個人として突出した活躍はできないかもしれませんが、チーム戦術の構築は意外とスムーズに進むかもしれません。
まずは勝利よりも経験を積むことが優先されるシーズン。ネッツにとっては久しぶりのルーキー中心の再建だけに、一つひとつのプレーが新鮮で楽しいものになりそうです。