「単調だけど、すべては予定通りに進んでいる」

昨シーズンのタイリース・ハリバートンはNBAの主役を務めたが、今シーズンは舞台に立つこともできない。NBAファイナルの『GAME7』でアキレス腱を断裂し、復帰までにはまだ長い道のりが待っている。

それでも彼は、ペイサーズの一員としてシーズン始動の会見を行った。会見場のテーブルに座った彼はまず机の上に足を投げ出し、溢れんばかりの笑顔を見せた。そこにはギブスもサポーターもないが「こっちは大丈夫な方の足だった」とハリバートンはジョークを飛ばした。プレーできないシーズンが始まろうとする時でも、ハリバートンは楽しむメンタリティを存分に発揮していた。

「良いオフを過ごしたよ。毎日同じことの繰り返しで単調だけど、すべては予定通りに進んでいる。僕は自分が恵まれていると思っているから、『最悪だ』とは言いたくない。でも退屈でうんざりする日々ではあった」

「GAME7でケガをして、次の日にニューヨークで手術を受けた。戻った時にはみんなもうインディアナポリスにいなかったから、チームメートの誰とも会えず、遊び相手がいないから家にいるしかなかった。いろんな人が訪ねて来てくれたし、スポーツの試合観戦とか、いろんな予定を入れて出歩くようにしていたけどね。チームの連中がようやく戻って来て、一緒に過ごして冗談を言い合ったりできるのは最高だ。みんなには感謝しているよ」

プレーできない1年間の計画は、プレー以外の経験を積むことだとハリバートンは言う。「どんな時でも、学び、成長することはできる。今シーズンはコーチの目線でゲームを見てみようと思う。コーチの立場で物事を考えることは、僕にとって新たな学びとなる。もちろん、チームメートとは常に一緒だ。彼らの見ているもの、聞いていることを知り、コーチ陣との橋渡し役になりたい。選手としての感覚を失いたくはないから、できる限り遠征にも参加するつもりだ。プレシーズンもアウェーゲームには帯同するよ」

エースのハリバートンは長期戦線離脱、ペイントエリアの大黒柱だったマイルズ・ターナーは移籍を選択した。ペイサーズは直近2シーズンほど期待できないとの声が大勢を占めているが、ハリバートンはそれに異を唱える。

「僕がトレードでここに来た当時はカルチャーがなかったけど、今は違う。僕が出場しなくても、基準は基準であり続ける。もちろん、プレーしない以上はコート上で起きる出来事に影響は与えられないけど、このチームのカルチャーや基準を保っていくことに貢献できると思っている」

「それに、僕がプレーしないことで生まれる楽しさもあるんじゃないかな。このチームで声を出すのはパスカル(シアカム)と僕だけど、僕がいなければ他の選手がその役割を少しずつ担うことになる。例えばドリュー(アンドリュー・ネムハード)は声を出すタイプじゃなくて、みんな彼の声を聞いたことがないと思うけど(笑)、彼もリーダーシップの役割を今までよりずっと多く担うことになる。声を出すかもしれないし、僕とは違う方法でチームを引っ張るかもしれない。そこで何が起きるのか楽しみだよ。そして僕はここにいて、みんなのステップアップを手助けするんだ」