ナタリー・ナカセ

新規参入チームを史上初の初年度プレーオフ出場に導く

WNBA2025シーズン最優秀コーチ賞に、かつて日本のプロリーグでコーチ経験のあるナタリー・ナカセが選出された。

ナカセは今シーズンよりWNBAに新規参入したゴールデンステイト・バルキリーの初代ヘッドコーチに就任。WNBAの規定により、新規チームは各チームが主力をプロテクトした中でのエクスパンションドラフトでロースターを編成する必要があり、当然のようにタレント的には厳しい。だが、ナカセが巧みな手腕でまとめ上げたバルキリーは2321敗と大健闘し、プレーオフ最後の切符をつかみ取った。

2戦先勝方式のプレーオフでは、初戦で第1シードのミネソタ・リンクス相手に連敗を喫して惜しくも敗退。しかし、新規参入チームが1年目でプレーオフ出場を果たしたのはWNBA史上初めての快挙だった。この功績からナカセは、全72票のうち53票を獲得して最優秀コーチ賞に輝いた。

日系アメリカ人三世のナカセは名門カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で選手としてプレーし、2008年にドイツでコーチのキャリアをスタート。その後、2010-11シーズンにbjリーグの東京アパッチで、スパーズなど複数のNBAチームでヘッドコーチを歴任したボブ・ヒルの下でアシスタントを務める。翌シーズンには埼玉ブロンコスに移り、シーズン途中にアシスタントからヘッドコーチへと昇格した。

その後、アメリカに帰国したナカセは10年間に渡ってクリッパーズのスタッフを務め、2014年にはサマーリーグにおいて、NBA史上初となる女性コーチとしてベンチ入りを果たした。2022年からはラスベガス・エイシーズにアシスタントとして加入し、2度のWNBA制覇に貢献。そして地元カリフォルニアに誕生したバルキリーの初代指揮官に抜てきされた。

WNBAの公式SNSで、ナカセは次のように語っている。「コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは光栄です。ただ、これはスタッフのおかげです。彼らなしでプレーオフに行くことはできなかったです。この賞は私個人ではなく、チームで勝ち取ったものです。そして私たちは、リーグで最もまとまりのあるチームだと信じています。成功は私によって成し遂げられたものではなく、組織の一人ひとりによってもたらされたものです。このことを誇りに思います」