「最後にこういう試合ができたことを誇りに思う」

モンテネグロは1勝3敗でグループBの最終戦を迎えた。開幕3連敗と出遅れたが、最終戦の相手は0勝4敗のイギリスで、ここに勝って決勝トーナメントに進出する目論見だった。

しかし、過去2大会連続で1勝も挙げられず、この大会でも未勝利のイギリスが『窮鼠猫を嚙む』を体現。プライドを懸けてグループ最終戦に臨んだイギリスは、粘り強いディフェンスからトランジションに持ち込むことでモンテネグロと渡り合う。序盤こそ勢いのあったモンテネグロだが、そのスピードに振り回され、後半は一度もリードを奪えなかった。

イギリスはフットワークを生かしたディフェンスでモンテネグロから18ものターンオーバーを誘発。ファストブレイクによる得点で20-3と大きく上回った。さらにはペイント内得点も42-38と、ここでも大健闘。モンテネグロの大黒柱、ニコラ・ブーチェビッチは31得点11リバウンド7アシストとスタッツは残したが、彼もイギリスのスピードに振り回された。

モンテネグロを率いるボスコ・ラドビッチは「ターンオーバーが多く、守備でエネルギーを出せない。グループを突破する資格がない。その責任はすべて私にある」と語った。

一方で、どうしても欲しかった1勝を最終戦で挙げたイギリスのヘッドコーチ、マーク・ストイテルは「ユーロバスケットで12年ぶりの勝利だ。チームを誇りに思う」と感激を隠せなかった。

勝てば得失点差での決勝トーナメント進出の可能性がわずかに残っていたとはいえ、現実的な目標にはならないレベルで、実質的には消化試合だったが、その状況でイギリスは勝負を投げ出すのではなく、今まで以上の集中力を見せ、攻守にエネルギーを注いだ。

「私は別に何もしていない」と指揮官ストイテルは言う。「選手たちは悔しい思いを抱えていて、それをコート上でのエネルギーに変えた。こういう状況でも選手たちは奮起した。0-4、0-5のランを食らっても規律を守り、自分たちのプレーに集中し続けた。勝ったのはうれしいが、それ以上に勝ち方が良かったことがうれしい」

イギリス代表でキャプテンを務めたカール・ウィートルは「最終戦を前に僕たちには2つの選択肢があり、『あきらめる』を選ばなかったということだ」と語る。「これまでの4試合とは全く違う、桁違いのパフォーマンスを出せた。大会全体を振り返れば満足しているとは言えないけど、今日の勝利には間違いなく満足しているよ。

指揮官ストイテルは最後まで感極まった表情でこう語った。「チームが集まってから今日で34日目だ。代表チームを強化し、結果を出すために全員が心血を注いできた。その結果として12年ぶりの勝利を挙げられて良かった。チームにかかわる人たち、応援してくれる人たち、特にフィンランドまでお金を使って応援に来てくれたファンを前に、最後にこういう試合ができたことを誇りに思う」

グループBではドイツ、リトアニア、フィンランド、スウェーデンの順で、4チームが決勝トーナメントに進出する。