差別を感じるも代表への忠誠心は変わらず
いよいよ来週から欧州最高チームを決める『FIBAユーロバスケット2025』が開催される。前回の2022年大会で3位になったドイツ代表は、2023年のワールドカップ優勝、パリオリンピック4位と安定した成績を残しており、今回も優勝候補の一角として大会に臨む。
ドイツ代表でNBAで最も活躍している選手はフランツ・バグナーだが、チームの大黒柱はデニス・シュルーダーだ。シュルーダーはワールドカップ2023で平均19.1得点、6.1アシストの活躍で大会MVPを受賞。パリオリンピックでも平均17.2得点、7.5アシストと見事な活躍だった。
ドイツの週刊誌『Stern』の取材に応じたシュルーダーは、代表への思いが高まったきっかけとして、ドイツ史上最高のバスケットボール選手と評されるダーク・ノビツキーの存在を挙げた。
「14歳の時、2008年の北京オリンピックで騎手を務めているダーク・ノビツキーの姿をテレビで見た。その時、これ以上の栄誉はないと思ったんだ」
シュルーダーはパリオリンピックでノビツキーと同じく旗手を務めた。シュルーダーは「光栄なことだった」と振り返る一方で、複雑な思いが去来したことも明かした。
「ダークと同じ扱いを受けることはなかった。肌が黒いことによって、この国で僕が彼と同じ愛を受け取ることはないんだ」
それでも変わらぬ代表への忠誠心を備えるシュルーダーは、ユーロバスケットに向けて次のように自信を見せる。「僕たちはタイトルを勝ち取るつもりだ。その自信がなければ大会に出場しないで、地元のブラウンシュヴァイクで過ごすほうを選ぶよ」
ドイツ代表はスペイン代表と強化試合を行い、オーバータイムの末に106-105で勝利した。24得点10アシストを挙げたシュルーダーの調整は順調な模様だ。
シュルーダー、バグナーの2大エースを中心とした経験豊富なメンバーに加え、今大会は昨シーズンのNBAでルーキーとして平均7.2得点、3.3リバウンドを挙げたトリスタン・ダ・シルバがフル代表デビューする。充実のメンバーを揃えたドイツ代表の戦いぶりが楽しみだ。