ライアン・リッチマンヘッドコーチ体制3シーズン目を迎えるシーホース三河は、日本人選手が全員継続するなど、積み上げを重視した編成で新シーズンに臨む。昨シーズン、セカンドユニットでの起用が多かった角野亮伍は、より持ち味を発揮するシーズンにしたいと意気込んでいる。優勝を目標に掲げて挑む新シーズンの展望を聞いた。
「もっと大事な場面で使ってもらえる選手になれる」
──オフの間、重点的に強化したいことはありますか?
シーズンが終わって少し経ってから、ライアンと個人ミーティングを行いました。昨シーズン良かったことと来シーズンに向けて改善していくことを話して、下半身の筋力トレーニングとクリエイト力が挙がりました。高校時代にお世話になったトレーナーのところで、持っている力を100%発揮できるような身体の使い方や呼吸の仕方などを1カ月間トレーニングしました。今はチームのトレーニングも加わってきたので、スピードやジャンプ力でも発揮できたらいいなと。
バスケに関しては、3ポイント成功率で40%以上をマークしたとは言え、まだ確率を上げられると思っています。シュートセレクションが悪く、入らないだろうなと思って打ってしまったシュートもあったし、逆にもっと打てたなと思う試合もあったので。クイックで打ったり、ドリブルからの3ポイントだったりを練習しつつ、ペイントに侵入してからのフィニッシュのバリエーション作りにも取り組んでいけたらと思います。
──このオフには新たに複数年契約を結びました。いろいろな選択肢がある中で、三河で手応えを感じているからこその契約だったと思います。
数字や試合への貢献度などいろいろな要素を加味した上で、クロージングで使ってくれたり、大きいペリメーターの外国籍選手にマッチアップさせてくれたり、僕を必要としてコートに送り込んでくれたなと感じました。ライアンのもとだったら、自分の努力次第でもっと大事な場面で使ってもらえる選手になっていけるだろうなと。なので、ライアンに自分を預けてみようかなという感じですかね。
──新シーズンのロスターに目を向けると、ザック・オーガスト選手の退団は特に影響が大きいと想像します。
正直、大きいですね。ザックはめちゃくちゃ走れるし、体力もあるし、スクリーンからのダイブもずっと繰り返せる選手なので。ただ、アーロン・ホワイト選手やトーマス・ケネディ選手はザックになかった、確率の高い3ポイントという強みがあるので。既存のメンバーがどれだけ彼らを生かしていけるかがカギになります。
「大事なのはオープニングでなくクロージング」
──角野選手がセルフィッシュな選手ではないことを理解した上で聞きますが、ヘッドコーチから求められることと、自分の得意なことにギャップを感じることはないですか?
大きな違いはありません。ライアンは元NBAのビデオコーディネーターでデータにくわしく、データを中心にバスケを考える人で、得点面では3ポイントとゴール下の得点を重視します。僕はミドルシュートが得意で、これを打つとライアンに「打つなら決めろ」と言われます。
──「どんな形であれ決めればOK」という外国人ヘッドコーチは多いと聞きますが、リッチマンヘッドコーチもそういうタイプなんですね。
そうですね。「決めれば問題ない」と言われます。外したら次の日のミーティングのビデオで取り上げられて怒られますけど(笑)。ルールを守ることは当然重要なことですし、確率や効率の良いシュートを打つのはバスケの鉄則です。でも、ルール守ってやるだけでは自分らしくもないし持ち味も出せないので、やるべきことはしっかりやりつつ、自分の色を出していければいいですね。
──同じウイングポジションには日本代表を経験している須田侑太郎選手や西田優大選手がいます。プレータイムを獲得するには彼らとの違いも作らなければならないでしょうか。
2人を立てるつもりもなければ、譲るつもりもないです。先発出場に大きなこだわりは正直なくて、大事なのはオープニングでなくクロージングだと思っています。終盤の得点がほしい場面で「誰にボールを預けるか?」となった時、僕が一番多かったシーズンにしたいなとは思います。
──チームとしてはどんな戦い方を見せていきたいですか?
ライアンが指揮してから2シーズンの負けパターンは、リバウンドを獲られて相手の攻撃回数を増やす、リードを許したところから個々で打開しようとしてバラバラになる、がほとんどでした。オフェンスに関してはダバンテ(・ガードナー)もいるし、みんな能力が高いので面白いバスケが見せられる自信があります。なので、ディフェンスやリバウンドなど、チームとしてやらなければいけないことにどれだけフォーカスできるかが重要だと思います。
──目標は?
もちろん優勝ですよ。「あと6つ」で終わった2023-24シーズン、そのまま結果が変わらなかった昨シーズン……。「あと6つ」はもう言いたくないですね。チャンピオンシップを勝ち上がり、優勝することを見据えてシーズンをスタートします。
──最後に応援してくださっている方にメッセージをお願いします。
三河でプレーするのは5シーズン目となりますが、ずっと「優勝する」と言って達成できていません。いつも足を運んでくださる皆さんには本当に恩返しをしなければいけないです。必ず優勝しますので、応援よろしくお願いします。