自らが描く『理想のプレーヤー』を目指す長岡萌映子「自分の仕事を追求したい」

2019/06/03
日本代表
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長岡萌映子

「悪い流れを断ち切ることができなかった」と反省

5月31日と6月2日、バスケットボール女子日本代表は今年初の対外試合としてベルギーと対戦した。複数の主力を欠いているとはいえ、欧州屈指の強豪を相手に2試合続けて2桁のリードを奪って勝利した。3ポイントシュートを次々と沈めた林咲希を筆頭に新戦力の台頭が目立ったこの週末となったが、一方で代表の経験豊富なベテラン勢もしっかりと役割を遂行した。

長岡萌映子は2試合ともに先発出場。約20分の出場時間で初戦は12得点3リバウンド、昨日の第2戦は9得点2リバウンド1スティールと、さすがのプレーを見せたが、本人としては満足できる内容ではなかった。

「今日は完全に消化不良で、自分たちの良い流れを最後まで持ってこられなかったです。出だしとか良かった時もありましたけど、自分がプレーしていて悪い流れを断ち切ることができなかったという反省点がありました」

指揮官のトム・ホーバスも同じ感想だったようで、試合後のセレモニーの間に叱咤激励を受けていたと長岡は明かす。

「自分とリツさん(髙田真希)が、試合の流れが悪くなった時に、自分たちはベテランで経験のある選手なのに、なんでそんなことしているんだと言われました。怒られるというのではなくアドバイスで、本当に次に繋げるしかないと思って聞いていました」

冒頭で触れたように及第点と言える数字を残していながら、指揮官から厳しい評価を受けたのは、中心選手の一人としてそれだけ大きな期待を寄せられているからこそ。それは長岡もしっかり理解しており、「いつもトムからの言葉は、すごく自分のことを信頼してくれていると感じます。だからこそ今日の試合で期待を裏切るではないですけど、そういうプレーをしてしまったことが一番の反省点と思っています」と言う。

長岡萌映子

誇りを持って『裏方のプレー』に取り組む

今の代表で長岡は自分がやるべきこと、指揮官に期待されているプレーはどういう部分だと考えているのだろうか。高校時代から長岡といえば、長らくエースの役割を担ってきた。しかし、今の代表において自分の仕事は、スタッツに残らないような味方のシュートチャンスを作り出す裏方のプレーを的確にこなすことと見ている。

「日本はチームバスケで、個人ではなくみんなが協力して得点を挙げています。例えばアース(宮澤夕貴)が3ポイントシュートを打つために、スクリーンをしっかりかける。ガードがプレーできるようにピックをしっかりかける、ブレイクを出しやすいようにフォワードも前を走る。そういうのがあるからこそ得点が取れる。実際、これは裏方と言える仕事ですが、そういうプレーが今の自分には必要だと思います。トムの細かいバスケットボールは求められることがタフですが、自分ができる仕事なのでもっともっと追求していきたいです」

インサイドに切り込んで行けるフィジカルの強さ、そして非凡な外角シュートと、長岡は日本代表においても点取り役をできる得点力の持ち主。だが、あくまでシュートは水物であるからこそ、「得点が取れなかった時、何をしないといけないのか」を重視する。それが、ディフエンス、リバウンドなどのハッスルや「得点が取れる選手をいかにノーマークにしてシュートを打たせるのか。そういうところを今はより意識している感じです」と今の彼女が目指す方向に繋がっている。

長岡萌映子

「裏方の仕事をトムもしっかり見て評価してくれる」

長岡自身、このスタイルが自身の存在を高めると考えて、実際に手応えも得ている。「エースとしてやっていくことも選択肢としてはありましたけど、代表では得点力の高い選手も多いです。そこで存在感を出すためには、いろいろなことができる部分でインパクトを与えていこうとこの何年かで感じるようになりました。そして、こういう裏方の仕事をトムもしっかり見て評価してくれているので、自分のやっていることは間違っていないと感じています」

「もちろん突出した部分を持っている選手はすごいです。ただ、いろいろなことができる選手は強いですし、そういうオールマイティな選手もチームに必要。裏方の仕事をしっかりできる選手がいれば、チームとしてより簡単にプレーができるようになります」

得点、リバウンド、アシストなどすべての部門で数字を残せる多才な選手はオールラウンダーと評される。だが、長岡が目指すのは、さらに数字に残らないチームプレーも高い精度でこなせるもう一段階上の総合力を持った選手だ。彼女が自らの目指す理想形に近くことで、日本代表も成長していく。