
ベテラン最低保証額を結び『ラスト・ダンス』へ
現地7月19日にクリッパーズのローレンス・フランク球団社長が、クリス・ポールとの契約について「強く、強く検討している」と語った2日後に、契約が成立した。
ポールは360万ドル(約4億8000万円)での1年契約で、8年ぶりの復帰を果たす。フランク球団社長はその発表の中でこうコメントしている。「クリス・ポールはクリッパーズのユニフォームを着た中で最も影響力のある選手の一人で、キャリアのこの章で復帰するのは適切だ。彼は控えのポイントガードとして加入し、タロン・ルーの求める役割を喜んで果たすつもりでいる」
ポールは26歳だった2011年にクリッパーズに加入し、ブレイク・グリフィンやデアンドレ・ジョーダンとともに『ロブ・シティ』と呼ばれたチームの司令塔として活躍した。そのチームが2017年に解体された後も、ポールはロケッツ、サンダー、サンズとチームを渡り歩きながら、バスケIQとリーダーシップを生かしてリーグ屈指のポイントガードとして活躍を続けた。一昨シーズンはウォリアーズでステフィン・カリーの控えを受け入れたものの、昨シーズンはスパーズで先発ポイントガードに返り咲き、全82試合にフル出場と健在ぶりを示していた。
それでも40歳になった今オフ、彼は金額でも役割でも譲歩している。かつてのクリッパーズでは5年1億ドル(約150億円)のマックス契約、ロケッツでは4年1億6000万ドル(約240億円)、サンズでは4年1億2000万ドル(約180億円)と好条件の待遇を勝ち取り、昨年オフもスパーズから1年1000万ドル(約15億円)の契約を得ていたが、今回はベテラン最低保証額を受け入れた。
そしてフランク球団社長がリリースで明確にしたのは、控えポイントガードになることだ。次がおそらく最後のシーズンとなるポールは『勝てる環境』を最優先にした。フリーエージェントになるたびに一番乗りで契約を勝ち取ってきた彼が、今回は決断に時間を要した。
かつての『ロブ・シティ』は豪華絢爛なチームだったが、ポールの所属した6シーズンすべてでプレーオフに進出するも、ファーストラウンド敗退とセカンドラウンド敗退が3度ずつと結果を残せなかった。個々の選手だけでなくクリッパーズの組織もまだ未熟だった。その後の8年間でクリッパーズはカワイ・レナード中心のチームに生まれ変わり、新アリーナも完成して組織としての充実が進んだ。その舞台にポールが帰還する。
華やかなキャリアに唯一欠けている『NBA優勝』をもたらすのが、今の彼にとって究極の目標だろう。これまでのキャリア20年間で、それに最も近づいたのはジェームズ・ハーデンとコンビを組んだロケッツ時代だった。その時に果たせなかった夢を、ハーデンと再び組んで追い求める。