リーグMVPのロシターの欠場がリンク栃木には痛手

前日にアイシンシーホース三河が2連勝し、ファイナルへと勝ち進んだ。もう一枠を決めるリンク栃木ブレックスvs東芝ブレイブサンダース神奈川は、1勝1敗にもつれ込む。どちらも満身創痍の中、決着をつける40分間が始まった。

序盤は東芝神奈川。4本の3ポイントシュートを確率良く決めて10点のリードを奪う。それでも第2ピリオドに入るとリンク栃木が、ゾーンディフェンスで相手の勢いを止め、タフショットを決めて追い上げていく。

リンク栃木は第2戦で肉離れを負ったリーグMVPのライアン・ロシターを欠くも、そのビハインドを感じさせることなくインサイドをしっかり守って逆転に成功。シュートレンジが広いニック・ファジーカスの3ポイントシュートにやられたが、前半終わって31-32。どちらに転んでもおかしくはない展開だった。

10点リードされた第1ピリオド同様、オンザコート1の時間帯をどう凌ぎきるかが、ロシターを欠くリンク栃木の勝負どころ。インサイドからジュフ磨々道が次々と得点を挙げ、39-50と東芝神奈川のリードは11点まで広がった。しかし第3ピリオド終盤、3ポイントシュート2本で巻き返したリンク栃木が45-52とし、7点差で最後の10分を迎える。

身を投げ出してルーズボールを追い掛け、なりふり構わぬハードディフェンスをし、お互いの気持ちと気持ちをぶつけ合う好勝負。逃げる東芝神奈川、猛追するリンク栃木の息をつかせぬ攻防。そのワンプレイワンプレイに声援が飛び、会場が揺れる。

残り2分、激しい試合を象徴するように、勝負どころで古川孝敏の足が痙ってしまった。4点を追いかける中、痛い交代を余儀なくされる。しかし次の瞬間、観客を総立ちにさせたのは渡邉裕規の3ポイントシュートだった。60-62、残り1分12秒、あと2点。

治療を終えた古川がコートに戻り、逆転を目指すリンク栃木だったが、あと1本が決まらない。逆にファジーカスがバスケットカウントを決めて5点差にし、ファンの歓声を悲鳴に変えた。60ー69で2勝目を挙げた東芝神奈川が、2シーズン振りのファイナル進出を決めた。

東芝神奈川の辻、リンク栃木の古川。日本人エース対決は大きな見所となった。

セミファイナルの最終決戦に相応しいゲームだった

「セミファイナルの最終決戦に相応しい、すごいゲームだった」と勝利チームの指揮官である北卓也は興奮気味に会見を始めた。

「昨日も相手のゾーンディフェンスに手こずり、その対策をしてきたが、第2ピリオドに追い上げられた時間帯は、会場の雰囲気に飲まれてしまい、選手たちは気持ちが焦ってしまった。だから、空いたらすぐにシュートを打ってしまって、リバウンドを取られて、速攻を決められて、追いつかれた。後半に向けて、またゾーンディフェンスを仕掛けて来るだろうから、ボールを回してディフェンスを動かして、絶対にノーマークの選手がいるわけだから良いセレクションでシュートを打とうと話した。終盤のシュートをフリースローも含めてしっかり決めきることができたのが勝負の分かれ目となった」

2年連続、セミファイナルで敗れたリンク栃木。昨シーズンと違うのは、レギュラーシーズン2位となり、ホームコートでシーズンを終えたのは一歩前進と言えよう。敗戦が決まった直後、ファンの前で挨拶をした田臥勇太は、悔し涙を見せながらもしっかりとした口調で感謝の気持ちを伝えた。

「本当に勝ちたかった。皆さんのおかげでここまで全員で戦うことができた。ホームでセミファイナルを戦えたことは、本当に自分たちにとって最高の戦いになった」

月曜日にもかかわらず観客席は埋まり、ともに戦ったファンも同じくハンカチで涙を拭っている。2階席では戦いを終えた東芝神奈川のファンが、会場全体にエールを送っていた。

本日の結果により、ファイナルは東芝神奈川とアイシン三河の対戦となることが決まった。いずれも優勝経験あるチームだ。NBL初代王者(2014-2015)の東芝神奈川と、2連覇を狙うアイシン三河によるファイナルは大田区総合体育館にて5月28日、15時から行われる。

月曜ナイトゲームにもかかわらず、ブレックスアリーナには多くのファンが集まった。