序盤の失敗から立ち直り、栃木との我慢比べを制す
今日からBリーグのチャンピオンシップはセミファイナルへと突入。船橋アリーナではレギュラーシーズン全体勝率1位の千葉ジェッツと、2位の栃木ブレックスが激突した。
富樫勇樹が思い切り良く放ったジャンプシュートが決まり千葉が先制したものの、立ち上がりに主導権を握ったのは栃木だった。ライアン・ロシターとジェフ・ギブスが立て続けに中央突破から得点を奪い、渡邉裕規の3ポイントシュートにフリースローと、迷わずフィニッシュに持ち込む攻めが千葉を面食らわせた。
千葉のターンオーバーから鵤誠司の得点が生まれたところで2-11。試合開始から4分、たまらずタイムアウトを取った千葉の大野篤史ヘッドコーチは「やるべきことをやっていなかった」と振り返る。「リバウンドのところ、またボールラインがかなり下がって、トランジションもできていませんでした。何かのプレーをやろうと指示したわけではなく、やるべきことをやろう、まず自分たちのベースとなるディフェンスの連携を立ち直らせてやろう」との声を掛けた。
ただ、この直後も栃木のディフェンスを崩すことができずに24秒オーバータイムと、タイムアウト一つで簡単に立ち直せたわけではない。この後に栃木がギブスとロシターを順番にベンチに下げて休ませたところから、そのインサイドをジョシュ・ダンカンのパワープレーで突くところから千葉はリズムを取り戻した。第1クォーターの最後は富樫が3ポイントシュートで締めて、何とか15-18と1ポゼッション差でまとめている。
田口成浩、好調なシュートタッチでチームを救う
第2クォーターは息詰まる接戦に。栃木ではロシターがエースの役割を果たすとともに、比江島慎もさすがの決定力を発揮。それでも千葉は西村文男がバランスの良い攻撃を演出し、レギュラーシーズン終盤に調子を上げた田口成浩がシュートをすべて成功させて9得点の働きで、劣勢だった試合を振り出しに戻す。両チームともにディフェンスを強調し、千葉は栃木のオフェンスリバウンドを警戒するあまり、思い切ったトランジションオフェンスを出せずに相手のペースにハマる苦しい状況だったが、田口のシュートタッチの良さに支えられたと言える。
それでも後半、波に乗ったのは千葉だった。第3クォーターのスコアは19-11、ロースコアの展開では小さくない差が付いた。
安齋竜三ヘッドコーチはこう語る。「千葉さんのディフェンスの圧が強くなり、ピック&ロールのディフェンスもいろんなことをやってきたので、そのアジャストがなかなかできませんでした。自分たちが生み出したスペースを潰したり、スクリーンがしっかりかからなかったり、そういう細かいところが第3クォーターの失速に繋がりました」
富樫はフィールドゴール11本中成功3本の7得点とオフェンスでは不発に終わったが、この後半のディフェンスを誇る。「前半のような展開になることは予想できて、準備はしていました。その中で第3クォーターと第4クォーターでディフェンスでやれた。本当にディフェンスで勝てた試合だなと思います」
こうして栃木の得点ペースは鈍り、さらには相手のアグレッシブな攻めを受けてしまい残り3分半でチームファウルが5に到達。安齋ヘッドコーチは「もっと激しく行ってほしいぐらいです」と、プレッシングの激しさが災いしたとは考えなかったが、ここで千葉に主導権を渡してしまったことが響いた。
「明日に繋がるゲームをしてくれた、絶対に繋がる」
栃木はロシターがギャビン・エドワーズのポストプレーからのアタックを守った際にあごに肘が入り、以後はその影響を抱えてのプレーを強いられた。ギブスも終盤にシュートした際に足首を痛めている。最大で3連戦となるレギュレーションを考えると、過度の消耗は禁物。結局、第4クォーターのロシターはギブスの足首の様子を見るための短時間プレーするのみに留まった。
最終クォーター開始早々のダンカンの得点で、56-45と千葉のリードが2桁に。終盤の栃木はなかなかビハインドを縮められず苦戦したが、それでもロシターを欠く状況で竹内が得点にリバウンドにと奮闘し、比江島に鵤がオフェンスを引っ張ることで最後まで追い上げを見せた。最終スコア67-75で敗れはしたが、安齋ヘッドコーチは「最後は明日に繋がるゲームをしてくれた。そこは絶対に繋がると思う」と評価するパフォーマンスだった。
千葉にとっては我慢を続けた末に来た流れを逃さずに挙げた大きな勝利。大野ヘッドコーチは「第1クォーターは負けかけていたので助かった。本当に紙一重のゲームだったと思います」と振り返る。「栃木さんはカルチャーであったり、タフさが僕たちにとっては怖いところ。そこを押し出させないように、自分たちもしっかりとした準備をして戦わなければいけない。しっかり我慢して我慢して、お互いどちらが我慢強く、辛抱強くやれるかがキーになってきます」
『紙一重のゲーム』は明日のGAME2も続くだろう。優勝を争うチャンピオンシップに相応しい息詰まる熱戦を、明日も期待したい。
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