オースティン・リーブス

「最後の50秒をもっと上手くプレーしなきゃならない」

負けても納得のいく試合があるとすれば、まさに今回のナゲッツ戦だろう。レイカーズは3連敗中で、レブロン・ジェームズとルカ・ドンチッチの両エースに八村塁と先発3人を欠き、ドリアン・フィニー・スミスにゲイブ・ビンセントも欠場。ただでさえ相性の悪いナゲッツで、敵地でのゲームであり、レイカーズにとってはバック・トゥ・バック(2日連続の試合)の2試合目。やる前から黒星が避けられない状況だったが、コートに立った選手たちはそれに最後まで抗った。

レイカーズが第1クォーターを40-32とリードしたが、その後は主力の揃うナゲッツ優位の展開で試合は進む。それでもレイカーズはニコラ・ヨキッチにジャレッド・バンダービルトを筆頭に粘り強いディフェンスを見せ、5アシスト4ターンオーバーとポストアップからのチャンスメークを許さずにナゲッツを勢いに乗せない。

こうして食らい付いていくと、第3クォーター終盤にはハードワークの成果が表れ、レイカーズに流れが傾く。ヨキッチとジャマール・マレーを休ませる時間帯に攻守のクオリティが落ちるのはナゲッツの泣きどころ。堅守速攻でそこを突き、ヨキッチとマレーが戻った後も勢いを持続して、最大13点あったビハインドから逆転に成功する。

レブロンもドンチッチも不在の状況でレイカーズを引っ張ったのはオースティン・リーブスだった。彼も前日のバックス戦で右手首を痛めており、試合直前まで出場が危ぶまれたが、積極的に攻め、リーダーシップを発揮する姿は痛みを抱えながらのプレーとは思えなかった。この試合でのリーブスは早々にアシストを2桁に乗せて、37得点8リバウンド13アシスト4スティールという素晴らしいパフォーマンスを見せた。

もう一人、オフェンスを引っ張ったのはダルトン・コネクトだ。リーブスから「今日は何本シュートを打ってもいい。君のシュートが必要だ」と背中を押されたことで、自信を持って打ち続け、リーブスの26本を上回る27本のシュートを打ち、13本を成功させて32得点を挙げている。

クラッチタイムに入ってもレイカーズの勢いは衰えない。ナゲッツに戦力が劣る分を、全員で足を動かすハードワークで食らい付いた。残り1分にリーブスの得点で124-123と逆転すると、マレーのパスミスをリーブスが奪って速攻に転じ、コネクトがダンクで126-123と突き放した。

しかし、最後はマレーとヨキッチに屈した。ヨキッチが強引なドライブからバスケット・カウントを奪って追い付くと、最後はヨキッチのスクリーンを巧みにつかってマークを引き剥がしたマレーの3ポイントシュートが決まって勝負あり。

ナゲッツが131-126で勝利したが、試合後の雰囲気はまるで勝敗が逆であるかのようだった。ナゲッツを率いるマイケル・マローンはボックススコアの用紙を一瞥しただけで放り投げた。一方でリーブスは、敗れた悔しさとともに充実感を味わっていた。

「全員が健康であればどこにも負けない力があるのは分かっている。そうでなくとも全員が団結して目標に向かっていることを示せた」とリーブスは語る。

「すごく厳しいチーム状況で、世界最高の選手を擁する強豪と対戦し、互角に渡り合えた。不思議な話だけど、このチーム状況でもナゲッツ相手に本気で勝てると感じていた。正しいプレーを心掛けて、シュートが決まるたびに自信が増した。全員が勝つために必要なことを徹底できたと思う。勝つチャンスもあった。だけど、そのためには最後の50秒をもっと上手くプレーしなきゃならない」