ジョン・ホーストGM「ヤニスは決定に関与していない」
クリス・ミドルトンはトレードデッドラインにバックスからウィザーズへとトレードされた。ルーキーシーズンを終えた2013年にバックスに加入し、12シーズンを過ごしたミドルトンは、攻守両面でチームに貢献できる選手へと成長し、ヤニス・アデトクンボとともに2021年のNBA優勝に大きな貢献を果たした。だが、その後は多くのケガを繰り返して安定した活躍ができず、再建チームのウィザーズに放出されることになった。
足首のケガを抱え、トレード決定から10日ほどが過ぎた今もウィザーズではまだプレーしていないミドルトンだが、NBAオールスターブレイク明けから復帰すると見られている。その前に彼はSNSで声明を発表した。
「12年前、大きな夢を抱いた若者として僕はミルウォーキーにやって来た。そして今、NBA優勝に3度のオールスター選出、オリンピックの金メダリストとしてこの街を去る。そして何よりも、ミルウォーキーに育てられた人間、選手としてこの街を離れる。この街に来たその瞬間から人々は僕を温かく迎え入れてくれた。再建期から優勝を争うチームへと成長し、2021年の優勝へと続く素晴らしい旅を一緒に経験した。あの魔法のような躍進は永遠に忘れないだろう」
「バックスのみんな、僕を信じ、育て、オールスターやチャンピオンへと成長する機会を与えてくれてありがとう。そしてミルウォーキーの皆さん、この街は僕の故郷になった。人間関係や活動、コート内外で作り上げた思い出は永遠のものだ。新たな章の始まりに胸を躍らせているけど、ミルウォーキーは常に僕の心の中で特別な場所であり続ける。これはさよならではなく、ありがとうなんだ」
バックスのジョン・ホーストGMも、「難しい判断だったし、正直に言えば乗り気ではなかった。ただこれはクリスとカイル(クーズマ)との比較ではなく、勝つ可能性を最大限に広げ、今後も勝ち続ける方法を考え、実行していくのが私の責任だ。その機会は本当に限られたものだと感じていたが、今回がそうだった」と語る。
長らくコンビを組んでバックスを引っ張ってきたヤニス・アデトクンボは、今回のトレードに「寂しい」との心境を漏らしている。アデトクンボがバックスの意思決定に関与しており、今回のミドルトン放出にもGOサインを出したと言われているが、ホーストGMはそれを否定した。
「ヤニスには相談していない。彼の承認なしにトレードは決まらないと知っているようなことを言う人たちがいるのは知っている。そういう人たちが、我々が全く興味がない選手の名前を挙げて噂を作り出しており、正確性は著しく低いと言っておきたい」とホーストGMは言う。
「事前にトレードの話をして、ヤニスが受け入れるか拒否するかは分からないが、私は彼をその立場に置かないことにした。その責任を負わせるのはフェアじゃないし、彼が同意しようが反対しようが、それがどんな結果をもたらそうが彼とともに前進していく。分析し、決定を下すのが私の仕事であり、今回は彼に相談するのが正しいとは思えなかった」
アデトクンボはミドルトンがバックスに加入した2013年NBAデビューを果たしている。長らく一緒に歩んできた彼ら2人の道はここで分かれることになるが、いずれ2人のユニフォームは揃ってファイサーブ・フォーラムに掲げられるはずだ。