2月20日の中国戦「フィジカルの強い選手を呼びました」
バスケットボール男子日本代表は2月20日に中国、23日にモンゴル相手のアウェーゲームを戦うアジアカップWindow3に向けた強化合宿を行なっている。
今夏にサウジアラビアで開催される本大会出場をすでに決めている日本代表は、今回の合宿に富樫勇樹や渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソン、代表引退を示唆している比江島慎といったコアメンバーを招集せず。代表経験が少ない、あっても主力待遇の経験がないメンバーが大半のフレッシュな顔ぶれとなった。
ヘッドコーチのトム・ホーバスは「中国は身長もあるのでフィジカルで簡単に負けると難しい。今回はフィジカルの強い選手を呼びました」と選考のポイントを語る。ただ、その中でも「早いバスケット、3ポイントシュートを打っていくスタイルは変わっていないです」と基本戦術は変わらない。
代表経験が豊富なベテラン不在のチームで、キャプテンを務めるのは吉井裕鷹だ。今回のメンバーでは唯一、ワールドカップ、オリンピックの大舞台を主力をとして経験している吉井への信頼をホーバスは強調する。
「この合宿メンバーで代表経験が一番あります。彼はウチのバスケットをよく分かっている。バスケIQが高く、先輩にも後輩にもいろいろと声をかけています」
主力不在の今回は、代表での序列を高められる絶好のアピールの機会となる。特にポイントガードは河村勇輝、富樫勇樹と、ホーバス体制では不動の2人がいないことで、ホーバスも「今、ポイントガードはすごいチャンスがある」と語る。
「今回の参加メンバーは、みんな持ち味がちょっと違います。佐々木(隆成)は速さ、(テーブス)海は強さもある。中村(拓人)はチェンジ・オブ・ペースが上手い。今回は誰がステップアップするのか、競争が激しくて楽しみです」
女子日本代表による『マレーシアの大勝利』の再来を
このようにホーバスはチーム内競争が生み出す底上げに期待している。この流れで言えばWindow3の2試合はプレータイムをシェアすると予想したが、指揮官にその考えはない。消化試合であっても貪欲に結果を求める姿勢にブレはない。
必勝体制で臨む理由として、女子日本代表を率いていた東京オリンピック前のプレ予選におけるオーストラリア戦を例に挙げた。開催国としてすでに出場権を得ていた日本は、フルメンバーのオーストラリアを相手に若手を起用しながら勝利を収めた。
当時のことをホーバスはこう振り返る。「オーストラリアは五輪が決まっていなかったから世界ランキング2位のメンバーで、マレーシアで試合をしたんですよ。ウチは半分がベテラン、半分がトライアウトのメンバーで勝ちました。そこから『金メダル取れる』、『勝てるかな』という自信が増しました」
今回の中国戦、ホーバスは「中国は絶対勝ちたいと思っている。去年はウチが勝ったから絶対フルメンバーで来る。だから、このメンバーで勝ったら自信になる」と語る。それゆえに「プレータイムのシェアは考えていません。勝ちたいです」と続けた。
このメンバーでアウェーの中国戦に勝利を収めたら、マレーシアでのオーストラリア戦勝利を上回るインパクトとなる。若き力による新たな快挙達成に期待したい。