須藤昂矢

「メンタリティがチームとして良くなっている」

Bリーグはシーズン後半戦に突入したが、ここに来てパフォーマンスを高めているのが横浜ビー・コルセアーズだ。いまだ14勝21敗と黒星が先行しているものの、今年に入ってからは上位チームと互角の展開を繰り広げている。

琉球ゴールデンキングスに連敗するもゲーム2では外国籍ビッグマンを1人欠きながらダブルオーバータイムまで渡り合い、群馬クレインサンダーズ戦は1勝1敗。前節は千葉ジェッツ戦を相手に67-66と競り勝った後、ゲーム2も71-76と接戦を演じた。リーグ最強ビッグマンのジョン・ムーニーの復帰でフルメンバーとなった千葉J相手に、同一カード連勝まであと一歩に迫った今の横浜BCは、リーグ下位の順位とは思えない競争力を見せている。

今シーズンの横浜BCは、エースの河村勇輝がオフにNBA挑戦でチームを離れた。新ヘッドコーチにラッシ・トゥオビを招聘し、外国籍選手を3人揃って入れ替えるなど大きな変化があっただけに、新しいスタイルを浸透させるのに時間がかかった。さらに前半戦はケガに苦しめられた

だが、後半戦になるとフルメンバーで戦う機会も増え、トゥオビヘッドコーチの目指すスタイルへの共通理解も進んでいる。千葉Jとのゲーム1の勝利後、指揮官は「ここ1カ月くらいでディフェンスの強度がどんどん上がっています」と手応えを語る。

シーズン前半の横浜BCは強豪相手に接戦を繰り広げていても、不用意なパスミス、レイアップなどイージーシュートを外すことで集中が途切れて敗れる試合も少なくなかったが、今の横浜BCは我慢強く戦えるようになっている。

「多くの3ポイントシュートを決めたり、いつも華麗なバスケットボールをできるチームではないです」とトゥオビヘッドコーチは語るも、メンタル面でのたくましさに自信を見せる。「その中で上手くいかない時も下を向かず、高い強度でプレーを続け、お互いを助け合う。それができることで勢いになっています。メンタリティがチームとして良くなっていることで、結果に繋がっています」

「試合を重ねるごとに自信が増しています」

インテンシティの高いプレーを集中力高く継続することこそが、横浜BCらしさであり、それを最も体現している一人が須藤昂矢だ。

地元の横浜市出身、今シーズンが在籍5年目のフランチャイズプレイヤーである須藤は、ここまで35試合出場で自己ベストの7.5得点を記録。また、持ち前のフィジカルの強さを生かしたディフェンス力でエースストッパーの役割を担い、攻守において存在感を増している。千葉Jとの2試合においても186cmの須藤は、自分より20cm高い渡邊雄太のマークにつき、サイズの不利をコンタクトの強さで補って激しいプレッシャーをかけ続けるなど、非凡な守備力を披露していた。

須藤はチームの変化をこう語る。「最近の勝つ試合は、途中で2桁くらいリードを許していても我慢を続けて最後にまくる展開です。そういう試合が増えることで焦りが減って、しっかりと我慢し続ける意識がより浸透しています。勝ちが増えることで自信になっていますし、勝ちパターンが徐々にできています」

また、ここぞの勝負どころでコートに立ち続けるなど、指揮官の信頼へのやりがいを語る。「コーチからの信頼を感じます。マッチアップで相手の得点源に付くことにプレッシャーもありますが、試合を重ねるごとに自信が増しています。しっかり責任感を持ってやっていますし、得点に絡める場面が増えている。毎試合、成長してもっとチームを助けられる選手になることを心がけてプレーしています」

須藤だけでなく今の横浜BCはチームとして右肩上がりでパフォーマンスを向上させている。これから上位キラーとして、リーグをかき回す存在となってもそれは決して驚きではない。