ヒートはアンドリュー・ウィギンズを獲得
契約延長を巡ってヒートと対立したジミー・バトラーのトレード先がウォリアーズに決まった。現地2月5日、まさにヒートがセブンティシクサーズとの試合中、ウォリアーズがジャズ戦の準備を進めているところで、『ESPN』のシャムス・チャラニアがこのトレードをスクープした。詳細は次の通り。
ウォリアーズ:ジミー・バトラー
ヒート:アンドリュー・ウィギンズ、PJ・タッカー、1巡目指名権
ラプターズ:カイル・アンダーソン
ジャズ:デニス・シュルーダー
ピストンズ:リンディー・ウォーターズ三世、ジョシュ・リチャードソン
ウォリアーズは「捨て身のトレードはチームの将来を犠牲にする。僕らには将来への責任がある」とステフィン・カリーが語ったように、現状維持で戦い続ける構えだったが、トレードデッドラインを前に方針転換。カリーがトップレベルを維持しているうちに5度目のNBA優勝をなりふり構わず取りに行くことにした。ザック・ラビーン獲得についてブルズとほぼ合意に至ったようだが、グッドチームではなく本当に強いチームになるには不十分だとして目標をバトラーに定めた。
バトラーは過去5シーズンを通して抜群の勝負強さを発揮し、ヒートを『プレーオフに強いチーム』に変えて結果を残してきた。しかし、そのバトラーももう35歳。もともとケガと付き合いながらのプレーを強いられてきた選手であり、常に100%のパフォーマンスを発揮できないと判断したヒートが契約更新を渋ったのを機に両者は対立した。
ウォリアーズとしても、バトラーのコンディションの問題、そして契約問題であまりにも強硬な態度を取ることは不安だっただろうが、今のチームをすぐに、そして劇的に変えられる選択肢は多くない。ケビン・デュラントの復帰という仰天プランも検討されたようだが実現せず、バトラー獲得に至った。
バトラーは来シーズンがプレーヤーオプションで、これを破棄して新契約を結ぶことを希望していた。ウォリアーズはそれに応じ、2年1億1100ドル(170億円)の大型契約を結ぶという。
恐るべきはバトラーの契約問題におけるクラッチ力だ。ケガを抱えたベテラン選手に大型契約を与えることがタブーとなっている市場の流れをねじ曲げて、自分の望む契約をもぎ取った。同じく、ヒートのパット・ライリー球団社長の移籍市場における立ち回りにも驚嘆させられる。バトラーとの決別はヒートに何一つメリットをもたらさないはずが、終わってみれば今シーズン終了後に出ていく選手と引き換えにアンドリュー・ウィギンズとPJ・タッカーを獲得し、この過程で年俸総額を削減することでラグジュアリータックスを回避している。
大型トレードの成否が分かるのは通常なら数年後だが、バトラーとヒートはこの時点で『勝ち確』と言っていいだろう。