2巡目指名権を条件にジャズにサラリーを引き取らせる
クリッパーズとジャズの間でトレードが成立した。クリッパーズはPJ・タッカーとモー・バンバ、2巡目指名権と現金を出し、ジャズからドリュー・ユーバンクスとパティ・ミルズを獲得する。
PJ・タッカーは地味だが相手エースにしぶとく食らい付いて封じ込めるディフェンスの名手。プレーオフで真価を発揮するエースキラーとしてバックスの優勝に力を貸し、その翌年にはヒートでNBAファイナル進出に貢献している。2年連続で勝負強いパフォーマンスを見せたことで2022年にセブンティシクサーズと3年3300万ドル(約50億円)の契約を結んだが、ここではチームにフィットせず、昨シーズン開幕直後にクリッパーズへとトレードされた。
シクサーズもクリッパーズも、ロケッツ時代からのジェームズ・ハーデンとの結び付きを評価してハーデンとセットでタッカーを獲得したが、ハーデンがクリッパーズで復活を果たした一方で、タッカーは昨シーズンに十分なパフォーマンスを見せられず。トレードを希望するもかなわずに開幕を迎えた今シーズンは、チームに帯同せずに移籍が決まるのを待っていた。
マジックでキャリア最初の4シーズン半を過ごした26歳のバンバは、ジャズの戦力に加えられる可能性があるが、すでにウォーカー・ケスラーにカイル・フィリパウスキーとセンターの駒が揃うチームにタッカーの居場所はないだろう。ここからジャズで契約バイアウトとなり、ベテラン最低保証額で強豪チームに加われば、プレーオフでの勝負強さがまた生きるかもしれない。ただ、昨シーズンはプレーオフも含めてあまり良いところがなく、今シーズンは全くプレーしていない。今回チャンスを得られても、それがラストチャンスになりそうだ。
クリッパーズはイビチャ・ズバッツの控えにユーバンクスが、ハーデンの控えにミルズが入ることになりそうだが、ハーデンが復活を遂げた攻守のバランスを武器に健闘を続けており、新しい戦力が割って入る余地は大きくない。クリッパーズにとっては戦力補強よりもサラリーを減らせることが大きいトレードで、契約最終年の年俸1150万ドル(約17億円)だったタッカーが470万ドル(約7億円)に置き換わることで贅沢税のラインを下回り、実質的に2巡目指名権だけで今後の編成に向けて格段に動きやすくなったと言える。