ケヴェ・アルマ

「ちゅうちょせずシュートを打ち切ることを意識しました」

126日、琉球ゴールデンキングスはホームで宇都宮ブレックスと対戦。86-105と完敗した前日のゲーム1で欠けていた集中力とインテンシティの高いプレーを取り戻し、97-88で見事なリベンジを果たした。

宇都宮は第1クォーターから3ポイントシュートを11本中7本成功させて得点を量産。比江島慎は3本中3本成功と特に絶好調だった。だが琉球も負けじと、ジャック・クーリーのゴール下を中心に、フィールドゴール18本中13本成功と着実にシュートを沈め、33-30という点の取り合いでスタートする。

2クォーターに入ると、琉球は立ち上がりからトランジションを繰り出して8-0のランに成功し、リードを2桁に広げる。宇都宮も盛り返すが、琉球は脇真大が比江島との11からスティールを奪って速攻を決めるなど、要所でビッグプレーが飛び出し、流れをキープしたまま6点リードでハーフタイムを迎える。

後半に入っても琉球の勢いは止まらない。力強いペイントアタックに加え、ケヴェ・アルマが連続で3ポイントシュートを成功させ、内と外のバランスの取れたオフェンスでリードを保つ。第4クォーター中盤に集中力を欠いた場面が続き、残り5分には8点差と追い上げを許したものの、タイムアウトを取った直後のポゼッションでアルマが貴重な3ポイントシュートを沈め、リードをすぐに2桁へと戻す。こうして試合の主導権を終始握り続けた琉球が勝利を収めた。

3ポイントシュート12本中6本成功を含む、自己最多の31得点をマークする大暴れを見せたアルマは、次のように試合を振り返る。「昨日の試合は、チームを失望させるプレーをしてしまった自分に苛立っていました。今日はアグレッシブにプレーし、勝利に繋がるプレーをすることを心がけました」

そして、チームメートのサポートあっての大量得点であることを強調する。「今日はよりフィジカルかつ、しっかりとした判断をして、ちゅうちょせずにシュートを打ち切ることを意識しました。3ポイントシュートのほとんどが、キャッチ&シュートから打ったもので、チームメートがオープンの僕を見つけてパスをしてくれたおかげで得点を重ねることができました」

206cmのサイズと機動力、アウトサイドシュート力を備えた26歳のアルマは、波に乗った時の爆発力は琉球の中でもトップクラスだ。しかし、魅力の一つである闘争心が時に空回りするなど、若さゆえのメンタルの不安定さから好不調の波がある。ゲーム1はこの悪い部分が出た象徴的な試合で、攻守で波に乗り切れずチームの足を引っ張ってしまった。

ケヴェ・アルマ

さらなる成長のカギはプレーの安定感

琉球の桶谷大ヘッドコーチは、好対照だったこの2日間のアルマについてこう評価する。「昨日の彼は、まずスクリーンをしっかりとかけるところができていなかったです。だから、外に開いてもオープンにならなかった。今日はしっかりスクリーンをかけたことで、簡単にプレーできるようになりました。本人は熱くなるタイプなので平常心でバスケットをすることが重要です」

これから琉球は水曜に大阪エヴェッサと、週末にアルバルク東京と対戦。翌週は天皇杯準決勝で三遠ネオフェニックスと戦った後にサンロッカーズ渋谷と、フィジカルの強いタフな相手との試合が続く。

難敵との対戦が続く中で、しっかりと勝ち切るにはアルマの貢献が大きなカギとなる。桶谷ヘッドコーチは、「強い相手とやった時、コンタクトがあっても簡単にファウルは吹かれないです。コンタクトを受けながらでも決め切らないといけない」と語り、大きな期待をしているからこそアルマに求めることをこう続ける。

「大卒3年目でまだまだ若く、ずる賢さという部分を身につけてほしいですし、色々とムラがあります。正直、リーグのトップ・オブ・トップで戦うなら彼は成長しないといけない。(アンソニー)マクヘンリーアシスタントコーチも彼にそういう話をしてくれています。昨日、マクヘンリーが(アルマのプレーに)一番怒っていました。それもあっての今日の活躍。彼にはここからもっと成長して行ってほしいです」

アルマ本人は、「アタックするか、どこにパスを出すのか、シュートを打つのかと判断力を向上させていきたいです」と今後の課題を語る。そして現役時代、抜群のバスケIQで常に冷静沈着なプレーを見せていたマクヘンリーコーチについて、「いつも試合前に、試合中にやるべき細かいことを指示してくれます。彼の素晴らしいアドバイスのおかげで、試合で自分がやるべきことがより明確になっています」と大きな信頼を寄せる。

ちなみに試合後、アルマは自身のメンターであるマクヘンリーコーチからは活躍を称えられると共に、発破をかけられたと明かした。「今日のプレーは良かったですが、昨日は良くなかったです。だからマックからは『安定したプレーをする。次の試合もこのプレーを続けていこう』と言われました」

チャンピオンシップのようなフィジカルでインテンシティがより高くなる戦いの舞台において、琉球がクーリーとアレックス・カークの両ビッグマンを軸としたインサイドで簡単に優位性を作れなくなることは、過去の戦いが証明している。そこで大事になるのは内と外のバランスで、今日のようにアルマが効果的に外角シュートを打っていくことが欠かせない。

まだまだ荒削りのアルマだが、見方を変えれば若く伸び盛りであり、彼の成長こそが琉球の伸び代だ。王座奪還のキーマンとして、アルマの重要度はこれからどんどん増してくる。