4月22日、今週末から始まるチャンピオンシップに先駆け、ティップオフイベントが行われた。チームを代表して参加した各選手に「ここだけは負けない」ポイントを書いてもらった。川崎ブレイブサンダースの篠山が書いたのは『若さ』。川崎はNBL時代から常に高い勝率を残す常勝軍団であり、そのために成熟したチームとのイメージがあるが、今シーズンのメンバーは帰化選手のニック・ファジーカス(33歳)を除く日本人最年長は篠山の30歳。チームとして勝利の方程式を理解していることに加え、若さが生み出す勢いをチャンピオンシップでは発揮したい。
「とにかくコツコツやるべきことを遂行していくだけ」
約2週間前、川崎ブレイブサンダースは中地区のライバル、新潟アルビレックスBBに連敗。ホームコートに詰めかけた満員のファンに、新潟が地区優勝の歓喜に沸く姿を見せてしまった。地区2位でレギュラーシーズンを終え、チャンピオンシップをアウェーゲームで迎える結果について、篠山竜青は「そこはやっぱり恥ずべき結果」と語る。
「代表選手もいて、帰化選手を有していて、地区優勝ができなかったことには責任を感じなければいけない」と続けるが、その原因として誰かに矛先を向けては絶対にいけないとも強調する。「今はただ、とにかくコツコツやるべきことを遂行していくだけです。結果に対して周りがこうだから勝てなかったとか、あいつがこうだからどうだったっていう無礼があってはいけない」
それと同時に、この屈辱の連敗があったからこそ「新潟との2試合をきっかけにして、チームが一つになれたと思います」という収穫もあった。その成果は、レギュラーシーズン最終節でチャンピオンシップ出場を狙ってモチベーションの高いシーホース三河に敵地で連勝したことが示している。
新潟戦と三河戦、ともに連戦の1試合目は最後までもつれる展開となった。この時、最後にシュートを放ったのは両方とも篠山で、新潟戦はこれが外れて敗れ、三河戦は決まって勝利した。「新潟戦も三河戦も最後は自分とニックでのピック&ロールの指示でした。新潟戦は、ちょっと状況を見すぎたというか、パスかどうか最後に迷ってしまった部分もありました。それもあって三河戦では、自分がシュートを打って決めようという思いがありました。新潟戦の最後のプレーは自分的にかなりヘコんでいたので、三河戦で取り戻したい。チームとしては消化試合でしたけど、僕の中で自信を取り戻すためには、ここでシュートを決めないといけない意識はあったかもしれません」
「納得のいく良い状態で栃木さんに向かっていける」
昨シーズンはレギュラーシーズンの締めくくりを故障により欠場した篠山は、ぶっつけ本番のチャンピオンシップでうまく波に乗れなかった。しかし、今年はコンディションも問題なし。三河戦で決勝シュートを沈めたこともあって「終盤にかけてどんどん調子を上げてきている。納得のいく良い状態で栃木さんに向かっていける」と、自信を持って大一番を迎える。
また、篠山にとって昨シーズンの違いとして無視できないのが彼を取り巻く状況だ。今や『日本代表の顔』の一人として、注目度は桁違いに上昇している。この週末の栃木戦、川崎の結果がどうあれ、篠山が多くのメディアに囲まれることは間違いない。「周りの状況がどんどん変化しているのは感じています。それでも、ワールドカップが決まったからどうとかは、正直これといってないです。毎年勝ちたい気持ちでやっていて、1試合1試合が勝負という気持ちは同じです」
最も変わらないと強調するのは、自分のベースは川崎の選手であること。だ「代表で活躍したいというモチベーションは、東芝に入社したときから同じです。その目標を叶えるためには、チームでの活躍が必要不可欠。周りは変わっても、自分のやるべきことに変わりはないです」
川崎での勝利を愚直に追い求める姿勢は、これまでもこれからも同じであり続ける。下馬評が高いとは言えない今回のチャンピオンシップについても、「楽しむというか、久しぶりに純粋に挑戦者としてやれると感じています」とポジティブな姿勢は崩さない。
そして「やっぱり栃木さんの方がみんな優勢と見ていると思います。そういう中で見返してやる。純粋に『やってやるぞ』という気持ちになっています」と波乱を起こすと力強く言い切る。
振り返ればちょうど1年前、チャンピオンシップで千葉に敗退した直後に川崎のクラブハウスで取材した際、篠山は「このシーズンがあったからこそ、と言える来シーズンを送りたい」と語っていた。この発言を現実のものとできるかどうか、その結論が出る大勝負が始まる。