復興を誓うアンソニー・デイビス「戦いはこれからだ」

現地1月13日、いまだ大規模火災が続くロサンゼルスで、レイカーズvsスパーズとクリッパーズvsヒートの2試合が行われた。

レイカーズのクリプト・コム・アリーナでは試合開始前に黙祷が捧げられ、自宅が避難区域に指定されたため家族とともに避難を余儀なくされたゲイブ・ビンセントがチームを代表して「コミュニティを守るために命懸けて救助活動にあたっている人たちに感謝の気持ちを表したい」とメッセージを述べた。

クリッパーズのイントゥイット・ドームでは『LA Strong』とプリントされたタオルが観客に贈られた。ロス出身のジェームズ・ハーデンは「多くのものを失った人たちにどんな言葉を掛ければいいのか分からないが、いつだって味方でいる。団結することが、この事態に立ち向かう唯一の手段だ」と語っている。

レイカーズのヘッドコーチ、JJ・レディックはこの火災で自宅を失った。家族は無事だったが、「現役時代の思い出、家族の思い出がすべてなくなってしまった」という。そのレディックの家族のために行動したのが、対戦相手のスパーズのクリス・ポールとビクター・ウェンバニャマだ。試合後にレディックの2人の息子、ノックスとカイのところに向かうと、自分たちのユニフォームをプレゼントした。

ノックスとカイは父親が長くNBAで活躍し、引退後は解説者を務め、今シーズンからレイカーズを率いる中で、多くの選手のユニフォームやサインカードを集めていた。その『宝物』は自宅とともに焼失。それを知ったポールはこの日の朝にレディックに電話をして「試合の勝敗にかかわらず、息子たちにユニフォームを渡しに行く」と伝えたそうだ。

レディックとポールはクリッパーズ時代のチームメート。レディックは「このリーグに長くいれば、大きな繋がりができる。好きな人たち、愛する人たち、兄弟たちだ。クリスはその繋がりの中にいる。彼が示してくれた愛情に感謝しているよ」と語る。

これに対してポールは「NBAで長年でプレーしていても、単なるチームメートでしかない選手もいれば、家族のような関係になる選手もいる。JJは家族の一員で、身近な人が被災したら何かしたいという気持ちになるのは当たり前のことだ」と語る。

ウェンバニャマも、ユニフォームを受け取ったノックスとカイが大喜びする姿を笑顔で見つめ、「これほどアツいファンだとは知らなかったけど、彼らの一日を素晴らしいものにできるなら、そうするつもりだよ」と語った。

しかし、火災の発生から1週間がたった今も、強風に煽られて延焼は続いている。消火活動や行方不明者の捜索、被災者への救済活動はこれから本格化する。一時的に家族とともに避難を余儀なくされたというアンソニー・デイビスは「戦いはこれからだ。僕たちにやれること、やるべきことがたくさんある。コミュニティを引っ張る一人として自分の役割を果たしたい」と、復興活動に力を入れることを誓った。