佐藤涼成

横浜BCを選んだ決め手は指揮官ラッシ・トゥオビの存在

年末年始にかけて、将来性豊かなダイヤの原石たちが特別指定選手としてBリーグに相次いでやって来た。その中でも即戦力候補として期待されるのが、横浜ビー・コルセアーズに加入した白鷗大3年生の佐藤涼成だ。

福岡第一から白鷗大に進んで1年から主力を務め、2年生からは中心選手に。高校時代から定評のある豊富な運動量と機動力に加え、分厚い上半身が示すように大学でフィジカルを鍛え上げたことで、速さと強さを兼ね備えたガードとなった。ここ2年連続でインカレ優秀選手賞を受賞しており、世代随一の司令塔の評価を得ている。

12月下旬、特別指定選手として3月5日まで横浜BCに加わることが発表された佐藤は、1月10日にチームに合流したばかり。それでも週末の琉球ゴールデンキングス戦で2試合ともにコートに立った。60-76で敗れた11日はガベージタイムでの登場だったが、ダブルオーバータイムの末に惜敗となった昨日の試合は、森井健太のファウルトラブルを受けて接戦の最中の第3クォーターにも3分半出場した。

相手はリーグ屈指のプレー強度を誇る琉球で、当然のように佐藤にも激しいプレッシャーをかけてくる。その中でも佐藤は、安定したボールプッシュで敵陣までスムーズにボールを運んでターンオーバーなし、そして1アシストを記録して爪痕を残した。

Bリーグデビューについて佐藤は、「自分の目標にしていたので、すごく良い経験になりました。試合に出る時間を与えてくださったコーチ、チームメートの皆さんに感謝して、気持ち良くコートに立てました。あの場面で出してもらって、少しは期待してもらっているのかなと感じる部分もあります。ここからどんどん新しいことに挑戦していく新鮮な感じです」と振り返る。

実際にBリーグのレベルを体感し、ほぼぶっつけ本番ながらミスなくプレーできた手応えをこう語る。「まだ練習には全然参加していなくて、フォーメーションやチームのルールもあやふやな状態です。これからもこういう場面での起用はあり得るので、自分のやるべき仕事を再認識できたのは次に生かせると思いました。外国籍選手の高さ、シュートを決める能力などすごく驚いた部分はあります。スクリーンのかけ方、パスのさばき方など相手チーム、自分チームとも見ていて勉強になります」

佐藤涼成

「ディフェンスをしっかりできるところを見せたい」

大学で佐藤ほどのパフォーマンスを見せた選手であれば、特別指定の行き先は選べる立場にあるはずだ。その中で横浜BCを選んだ決め手は、ヘッドコーチのラッシ・トゥオビだった。「大学の網野友雄監督に相談する中、ラッシコーチはフィンランド代表のヘッドコーチもやっているすごい実績のある方と教えてもらっていました。(欧州で実績ある)海外のコーチに教えてもらう機会は貴重だと話し合った結果、横浜を選びました」

また、佐藤は横浜BCの戦いぶりを見ていて、「勝敗に関係なく、すごく良いバスケをしていると思いました。細かい部分や多くの選手が連動し、精度の高いパスでシュートを作るまでのシステムなどいろいろと見ていて勉強になります」と好印象を抱いていた。

これからBリーグはオールスターブレイクと約2週間の中断期間に入る。佐藤にとっては、チームに馴染むための貴重な時間となり、ブレイク明けとなる1月25日以降のプレーが楽しみだ。

「とりあえず、持ち味であるディフェンスをBリーグでもしっかりできるところを見せたいです。オフェンス面ではスピードのあるドライブからのキックアウトをどんどんやっていく。健太さん、(キング)開さんのプレーを見て良い経験にしていきたいです」

佐藤は今後の意気込みをこう語ると、「特別指定の活動期間中は、出来る限りのことを精一杯やります。出された時間はチームにとって大切な時間で、自分がやるべきことは必ずこなす、という気持ちで毎回取り組んでいきたいです」と締めくくった。

佐藤のBリーグデビューは決して派手な内容ではなかった。しかし、見方を変えれば司令塔に一番必要なミスのないプレーを実直にこなせたことの表れだ。2週間後、佐藤がハイライトに取り上げられるプレーで注目を集めても、それは驚きではない。