ラッセル・ウェストブルック

ネッツ戦でヨキッチと揃ってトリプル・ダブルを記録

ネッツは再建チームである上に、キャム・トーマスにキャメロン・ジョンソン、ディアンジェロ・ラッセル、ボーヤン・ボグダノビッチと主力の大半がケガで欠場しており、ホームのナゲッツの勝利は疑いようがなかった。だが、ナゲッツ指揮官のマイケル・マローンは「君たちのほとんどが名前を知らず、どんな経歴かも知らない選手ばかり。この10年の経験からして、こういう時が一番怖い。セルティックスやキャブズと戦うより危険だ」と語った。

実際、ナゲッツは最初の3分で8-13とされて最初にタイムアウトを取ることに。第1クォーターは派手な打ち合いの末に32-36とビハインドを背負ったが、そこから先は地力の差を見せて勝利している。

失うもののない若手の勢いを最初は受けてしまったが、ナゲッツの選手たちに油断はなかった。ラッセル・ウェストブルックは試合へのアプローチについて「NBAで試合を軽視するようなことは起こらない。しかも僕たちは優勝を目指しているんだから、それに見合うメンタリティと習慣を意識している」と、マローンの10年間をあっさり否定した。

ナゲッツはニコラ・ヨキッチが体調不良から復帰したが、アーロン・ゴードンが欠場。それに代わってウェストブルックが今シーズン16試合目の先発出場となり、25得点11リバウンド10アシストを記録。ヨキッチも35得点12リバウンド15アシストで、2人揃ってのトリプル・ダブル達成となった。クリスチャン・ブラウンがファウルトラブルに苦しみ、ジャマール・マレーは膝の痛みが出て前半のみのプレーと予期せぬ出来事が続いたが、ヨキッチとウェストブルックが牽引するナゲッツの戦いぶりは安定していた。

今シーズン2度目のトリプル・ダブルを達成したウェストブルックは、36歳にして溌剌としたプレーで『第2の全盛期』を迎えている。サンダーを離れてからは2番手を受け入れ、レイカーズではベンチスタートも受け入れた。自分らしくプレーしても「自分勝手」、「ディフェンスができない」などと批判が付きまとったが、ナゲッツでの彼はチームメートにもファンにも受け入れられ、プレーする喜びを取り戻している。

「キャリアでは良いことも悪いこともある。素晴らしい活躍もしたし、最悪の試合も経験してきた。でも、バスケの喜びが失われたことはなかった」とウェストブルックは言う。「神がこの才能を与えてくれて、僕はずっと一生懸命に努力して、その才能を磨いてきた。僕はどんな場所にもプレーする喜びを持ち込み、コートにそれを残そうとしている」

「ナゲッツに来て一番最初に、コーチが僕にどんなプレーをしてほしいのか、とても正直に話してくれた。そのおかげで僕はラッセル・ウェストブルックらしくプレーできるようになり、周りの選手たちの持ち味を引き出せるようになった。僕はこのチームに自分なりのリーダーシップやエネルギー、タフに戦う姿を注入したい。まだ始まったばかりだけど、良いスタートを切ったと言っていいと思う」

2日前のクリッパーズ戦では『ゆりかご』パフォーマンスを披露し、ファンと喜びを分かち合った。レイカーズで戦犯扱いをされた後、クリッパーズでも自分らしさをあまり表現できていなかったが、その状況はナゲッツで大きく好転している。ネッツ戦では勝利を決めた後にコートインタビューを受け、デンバーのファンの大歓声を浴びた。

「ファンの愛情を感じてプレーできるのは楽しいよ。バスケの試合は楽しいもので、退屈するんじゃなくワクワクしなきゃね。僕はここでプレーを思い切り楽しんでいる。そうやってプレーしているからこそ、みんなも観戦を楽しめるんだと思う」

今シーズンのウェストブルックのトリプル・ダブルはこれで3回目。ヨキッチとの『2人トリプル・ダブル』はこれで2回目だ。指揮官マローンはうれしそうにこう言った。「皆さんは歴史的な瞬間を目にしているんだ。これはヒストリー・チャンネルだよ!」