「自分たちがなりたいチームに近付いている」
東西カンファレンスの首位チームの激突となったキャバリアーズvsサンダーは、『NBAファイナル前哨戦』という期待を裏切らないレベルの高い一戦となった。勝利したのはホームのキャブズだ。
第2クォーターの頭にサンダーが9点リードしたのが最大の点差。どちらも2桁のリードを奪うことなく試合は進んでいく。サンダーはルーゲンツ・ドートがドノバン・ミッチェルに貼り付いて自由を与えず、フィールドゴール16本中3本成功の11得点に抑え込む。ガードらしからぬフィジカルの強さを生かしてインサイドで押し込んで勝負するミッチェルにドートはパワーで上回り、ミッチェルを封じ込めた。
サンダーは攻めに回ればシェイ・ギルジャス・アレクサンダーとジェイレン・ウィリアムズを軸に、ドライブで攻め、攻め切れなければキックアウト、相手が寄せていれば再びドライブで攻めて、崩しきれなくても最後はシェイかウィリアムズが精度の高いプルアップジャンパーを放つ。ミッチェルを11点に抑え込み、エースのシェイは31得点を記録。サンダーはきっちりゲームプラン通りの攻守を展開したと言える。
しかしキャブズは先発全員にベンチスタートの2人と合計7選手が2桁得点を記録。ミッチェルは無理に攻めずにダリアス・ガーランドにオフェンスの舵取り役を任せ、サンダーがケアしきれない『脇役』にボールを回していく。ディーン・ウェイド、キャリス・ルバートにマックス・ストゥルースの3人で3ポイントシュートを15本中10本成功させたことで、サンダーのプラン通りに試合が展開してもスコアで離されることはなかった。
103-102とキャブズ1点リードで迎えた第4クォーター、またも『脇役』が輝きを放つ。タイ・ジェロームが6分の出番で8得点。2つのスティールを自らの得点へと繋ぎ、トラベリングの凡ミスはあってもアタックする姿勢を失わず、主力に呼吸を整える余裕をきっちり作ってクラッチタイムへと繋いだ。
そして最後に強烈なインパクトを残したのは、リーグ最強のフロントコートを自負するジャレット・アレンとエバン・モーブリーの2人だ。124-122と2点リードで迎えた残り2分から、オフェンスリバウンドがことごとく2人の手に吸い寄せられる。ここから40秒の間に4つのオフェンスリバウンドを奪い、ボールを押さえきれずにファウルと判定された場面でチャレンジを成功させ、ここでもポゼッションを守った。
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こうしてサンダーに攻撃の機会を与えず、モーブリーがアイザイア・ハーテンシュタインとのペイントエリアでの1対1を制して127-122と突き放す。シェイのシュートが落ちた後の攻め、ボールを持ったガーランドが3ポイントラインの外でケイソン・ウォレスをかわしてドライブする。ゴール下にはハーテンシュタインとウィリアムズがいたが、2人はアレンとモーブリーへのパス、またシュートが外れた時にボックスアウトしなければまたやられるという意識があった。これで寄せが遅れ、リムに到達したガーランドが余裕を持ってダメ押しの得点を挙げ、キャブズが129-122で勝利した。
リバウンドの数は40-38と大きな差はなかったが、勝負どころでアレンとモーブリーが強みを見せた。試合後の会見には2人揃って登場し、アレンが「相手がドライブするたびに僕らのどちらかが待ち構えて、相手を迷わせた」と言うと、モーブリーは「僕も同じことを言おうとしていた」と話し、こう続けた。「僕らはこのリーグでペイントエリアを最も上手く守れるコンビだと思う。しかも今日は僕らが最後尾で待ち構えている間、ガード陣もボールにプレッシャーをかけて、コートのどこであっても相手に余裕を与えなかった」
全国中継された試合で素晴らしいパフォーマンスを見せて勝ったことを喜ぶとともに、アレンは「これでみんなモーブリーをようやく知ったと思う」と冗談を言った。注目を浴びることについて問われたモーブリーは「スター選手の気分になってきたよ」と笑い、「つまり、努力が形になってきたと感じている」と語った。
アレンは25得点11リバウンド6アシスト、モーブリーは21得点10リバウンド7アシストを記録。サンダーではハーテンシュタインが18得点11リバウンドを記録したが、チェット・ホルムグレンの戦線離脱が響いた。ただ、この試合でホルムグレンが出場していたとしても、キャブズのリバウンドでの優位は変わらなかっただろう。高さにモノを言わせたわけではなく、ボールへの執着心の強さでつかみとったリバウンドだからだ。
ドノバン・ミッチェルは個人のスタッツは伸びなかったものの、チームの戦いぶりと勝利という結果に大いに満足していた。「この勝利は僕たちの成長の証だ。全員が試合に良い影響を与えたおかげで勝てた。やられても反撃し、またやられてもやり返す。そうやってリードを奪い、リードを守り切った。これが強いチームの戦い方だよ。この1勝で優勝が決まるわけじゃないけど、自分たちがなりたいチームに近付いていると感じられた」
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