盛實海翔

加入1年目の北海道でここまで自己最高の数字をマーク

レバンガ北海道は、2025年最初のリーグ戦をアウェーに乗り込んで千葉ジェッツと対戦。初戦は67-75で敗れたが、第2戦は70-64で競り勝った。

この2試合目、北海道の盛實海翔は1948秒出場で7得点をマーク。また、持ち味とする緩急を生かしたドライブで千葉Jのディフェンスを切り崩し、チャンスメークと、スタッツに現れない貢献も光った。

今シーズン、サンロッカーズ渋谷から北海道に移籍した盛實は、先発起用で開幕を迎えたものの、3試合目に負傷離脱。約1カ月半の欠場を経て復帰した現在は、セカンドユニットの攻撃の起点として活躍を続け、ここまで17試合出場で平均20分以上のプレータイムで9.1得点とプロキャリア最高の数字を残している。

専修大時代、盛實は独特のリズムから繰り出す多彩なステップワーク、オフバランスでも決め切るシュート力で世代屈指のスコアラーとして活躍。SR渋谷に加入後も非凡な得点力、創造性あふれるプレーでチームに貢献し、ファンを魅了していた。昨シーズン、SR渋谷がルカ・パヴィチェヴィッチを新ヘッドコーチに就任すると戦術にうまくフィットできず、わずか20試合出場、平均5分半の出場で1.2得点と構想外の厳しい1年を過ごしたが、新天地で見事な躍進を遂げている。

2試合目の終了後、盛實は「勝因はチーム全員で戦えたことがまず大きいです。相手のカギとなる選手についたレバンガの選手がハッスルして、気持ちよくシュートを打たせないようにディフェンスをしてくれました。そういう部分で失点を抑えたことが、特に前半はよかったと思います」と勝因を語る。

自身のプレーについては、終盤に得たフリースローを2本連続で失敗したことに「精度をもっと上げる必要があります」と反省しきり。その上で「千葉ジェッツさんは、勢いに乗ったら何点でも取ってしまう強さがあります。リードしていましたが、ジリジリと点差を詰められている中、相手の流れを切るために積極的に行きたい思いはありました」と、自分の強気のアタックでオフェンスを牽引していきたい思いを持っていたと明かす。

ここまでの活躍ぶりについて聞くと、まずは「去年のことがあってこその今だと思います」と昨シーズンの苦しんだ経験も成長の糧になったと強調し、こう続けた。

「どのチームにいても、ヘッドコーチから求められることを表現するのが選手の仕事です。それを去年はできなかった分、今年は頑張らないといけないと思っています。また、コーチたちが自分の強みを生かしたプレーをさせてくれるので、もっと精度を上げて自分の良さを出していきたいです」

盛實海翔

「もっと、プレーの精度を上げることができます」

北海道の小野寺龍太郎ヘッドコーチは盛實について「すごく賢くてゲームの状況を見られる選手です。オフェンスで今、他のレバンガの選手にはないものを持っています」と評し、大きな期待を続けた。

「彼には他の選手にはない自由度を与えてプレーしてもらっています。彼にボールを保持させて、攻撃の起点として考えています。ある程度の自由と責任を持ってプレーしてもらっていますし、ある程度のミスも許容します。彼の成長もあってのチームの成長だと思っています。そして彼が周りにアジャストする部分、周りが彼に合わせていく部分が必要でまだまだ成長過程にあると思います」

このような指揮官の信頼に盛實は「コートに出てプレーするのがこの仕事に一番必要で、自分のプレーを表現できることはうれしいです」と粋に感じてコートに立っている。また、昨シーズン、出番に恵まれなかった中でも「出番は勝ち取るもので、出たらからには自分らしいプレーをコートで表現してやろうと常に思っています。自信がなくなったみたいなことはなかったです」と、どんな状況でも自分の力を信じていた。

今、盛實は北海道で本来の輝きを取り戻している。だが、本人は自分のプレーはこんなものではないと力強く語る。「そもそも去年、1年を通してあまり試合に出られなかったことに加え、開幕当初の怪我もありました。今はゲーム感を取り戻していかないといけないところです。まだまだやれますし、もっと決めるべきシュートを決めて、プレーの精度を上げることができます」

そして今回の千葉J戦のように、接戦の終盤にボールを持ってアタックできる状況を「純粋にうれしいです」と語る。これからシーズン中盤戦から後半戦にかけ、盛實は北海道の貴重な攻撃オプションとしてさらなる輝きを放っていく。