「あれだけ好き勝手やられたら僕だってキレる(笑)」
現地12月29日のヒートvsロケッツは、後味の悪い結末を迎えた。ヒートはジミー・バトラーが5試合連続の欠場で、前日にアトランタでホークスに敗れてすぐにヒューストンへ移動しての試合。前半は互角だったが第3クォーターに入ると若いロケッツの勢いに押され、最大12点のビハインドを背負った。
だが、そこからヒートの巻き返しが始まる。タイラー・ヒーローが得点とアシストでオフェンスを引っ張ると、3年目のニコラ・ヨビッチにルーキーのケレル・ウェアと若いセカンドユニットがそれに呼応するかのようにアグレッシブに攻めて1点差まで詰め寄って第3クォーターを終える。フレッド・バンブリードの反撃で再び点差は7点まで開いたが、そこからヒートが約5分間を無失点で切り抜ける8-0のランで逆転に成功する。
残り2分でヒーローが逆転のシュートを決め、残り1分を切ってヒーローがダブルチームを引き付けて味方にパス、もう一度ボールをヒーローに戻すと予想するロケッツ守備陣の裏を突いてエクストラパスを受けたヨビッチがワイドオープンをきっちり決めて98-94と5点差に。
ロケッツはタイムアウトを取って反撃の攻めをデザインするが、フィジカルなせめぎ合いが続いた末に敗色濃厚となったことで、集中が切れていた。ベテランのバンブリートが5秒バイオレーションを取られ、さらに審判への抗議で退場処分を受けてしまう。このテクニカルフリースローをヒーローが決めて、残り47秒で99-94と差が広がった。
そして残り35秒、試合が動いてないところでボールに関係ない場所にいたヒーローとアメン・トンプソンが乱闘を起こす。イライラを溜めたトンプソンがヒーローのジャージをつかみ、そのまま投げ飛ばした。ロケッツではトンプソンとジェイレン・グリーンが、ヒートではヒーローとテリー・ロジアーが乱闘の当事者として、またロケッツの指揮官イメイ・ユドカとアシスタントコーチが審判への暴言で退場処分を受けた。試合はそのままヒートがリードを守り、104-100で勝利している。
ユドカは試合後「大したことは言っていない。これで退場になるなら、すべての試合で退場になってしまう。私は審判に説明を求めただけだ」と語っている。そして、退場処分を下したことではなくジャッジに一貫性がなかったことを批判した。「ジャッジの基準が定まらないことで、審判が試合をコントロールできていなかったように感じる」
一方でヒートの指揮官エリック・スポールストラは「これで乱闘ばかり話題になるのが残念だ」と語った。「選手たちは昨日の厳しい敗戦から立ち直り、勝利のためなら何でもするという姿勢で戦った。2桁の点差を付けられても全くひるまなかった。乱闘のせいで、その努力が見過ごされてしまう」
ヒーローとトンプソンが衝突する前に、何らかの言葉の応酬があったのかもしれない。それでも映像を見る限り、ヒーローはより大柄なトンプソンに引っ張られ、投げ飛ばされた上に退場処分を受けたように見える。バトラー不在の穴を埋めて27得点9アシストと活躍しながら、残念な終わり方になってしまったが、彼は何とも思っていなかった。
「よくあるフィジカルな試合だった」とヒーローは言う。「誰かにガンガン得点とアシストを決められて、あれだけ好き勝手やられたら僕だってキレるだろうね(笑)」