「最後、三冠と3連覇を取れたことにホッとしています」
ウインターカップ2024、女子の決勝で京都精華学園(京都)と慶誠(熊本)が対戦した。40分間を通して息詰まる激闘となったが、わずかに決定力で上回った京都精華学園が59-54で勝利。史上2校目となる大会3連覇を達成した。
試合開始からともに粘り強いディフェンスを継続することで、前半は京都精華の35-30とロースコアの展開で終える。後半になっても接戦が続くが、第4クォーターの立ち上がりに京都精華は司令塔の林咲良が強気のオフェンスで連続得点。さらにユサフ・ボランレ・アイシャットへのアシストとキャプテンが6-0のランすべてに絡む活躍を見せ、京都精華学園が54-45と抜け出す。
残り4分で慶誠は攻守の要であるロー・ジョバがファウルアウトするが、ここから驚異的な粘りを見せて2点差まで迫る。京都精華学園は直後のオフェンスを上手く展開できなかったが、坂口美果が振り向きざまに片手で放った3ポイントシュートをねじ込み、この値千金のタフショットが決め手となって勝利した。
これで京都精華学園は、インターハイ、U18日清食品トップリーグ、ウインターカップを制し2年連続での三冠を達成した。今年の京都精華学園はこれまで長く主力を務めた堀内桜花や八木悠香が卒業し、その穴を埋められるかが不安視されていた。それでも今年の京都精華学園は、決勝でも複数のベンチメンバーを起用するチーム一丸の総合力を見せた。
多くの選手が主力として貢献した京都精華学園でも替えの効かない存在だったのがキャプテンで司令塔を務める林だ。
「先輩方が抜けた穴が大きくて、校長先生(山本綱義コーチ)から『去年とは違う』と言われ続けていました。何を軸にして、どういう色を出せるのか悩んでいた中、インターハイで優勝できたことで全員で戦うバスケという今年の色が見え、自信になりました」
その林は、同じ3年生の橋本芽依や桃井優と違い、同じポイントガードで1学年上に堀内という絶対的な存在がいたことで昨年までプレータイムは少なかったが、キャプテンという重圧を背負いながらチームを三冠へと導いた。
「この1年間めっちゃ苦しかったです。最後、三冠と3連覇を取れたことにホッとしていますし、うれしい気持ちでいっぱいです」と林は笑顔を見せる。
「悔しさを晴らそうと全身全霊でやってきました」
林にとって堀内は京都精華学園中からの先輩だ。中学時代から堀内の影に隠れざるを得ない状況に「ポジションも一緒で、自分はなんで出れないんだろう、という気持ちが強かったです」という苦しさを抱えていた。
ただ、林には悔しさをモチベーションへ変える強さがあった。「この1年間、キャプテンになったことでプレッシャーはありましたが、自分がやるしかない、去年までの悔しさを晴らそうと全身全霊でやってきました。それが報われたと思います。こういう形で終われてすごくうれしいです」
京都精華学園中からの6年間を一緒に戦った橋本は、林の存在の大きさをこう語る。「1、2年生の時は、堀内さんもいてプレータイムも長かったわけではないです。それがキャプテンになって新チームのことを考えてくれて、咲良なりのポイントガードで私たちにシュートを打たせてくれたり、アシストやボール運びなどでもチームを救ってくれる。必要不可欠な存在でした」
名実ともに今年の京都精華学園の中心だった林は、最後の表彰式でも真ん中に立った。表彰式のステージに立つのは3度目だが、「見えた景色は全然、違いました」と笑う。「去年までは先輩が成し遂げてくれた気持ちが強かったです。今年はベンチメンバーを含めた全員で勝ち取った日本一です」
林は最後までチームを強調したが、チーム力をここまで高めた一因は林のリーダーシップにあり、司令塔としての安定したプレーも先輩に負けない素晴らしいものだった。