文=泉誠一 写真=Getty Images

ウィザーズで活躍するNBAのスター候補が初来日、インタビューに応じた

2001-02シーズン、MCIセンター(現ベライゾンセンター)には多くの日本人が訪れていた。3年のブランクを経て、マイケル・ジョーダンがワシントン・ウィザーズに復帰したシーズンだ。それまでは観客もまばらだった官庁街にあるアリーナは、一転して座席が埋まるようになり、これまでにない賑わいに驚かされた。

昨年、12年ぶりにワシントンを訪れてみると、観客席は埋まっていたが、あの時のような日本人の盛り上がりはもうない。再び、日本人ウィザーズファンを増やすため、初めて日本にやって来たブラッドリー・ビールに協力してもらおう。

ブラッドリー・ビールはフロリダ大学出身。2012年のドラフト1巡目3位でウィザーズに指名され、現在4シーズン目を戦い終えたばかりだ。ジョン・ウォールとのバックコートコンビは、ゴールデンステイト・ウォリアーズのスプラッシュブラザーズと遜色ない爆発力を秘めている。今年のリオ五輪に向けたアメリカ代表候補にも選出されており、将来を見据えて押さえておくべきスター候補だ。親しみを込めてビールではなく、あえてブラッドリーと表記させていただこう。

昨シーズン、現地へ応援しに行った際のキャバリアーズ戦は大敗を喫し、しかもブラッドリーはケガで欠場した。初顔合わせにもかかわらず、開口一番そのことを伝えると、頭を抱えながら大きな体をすぼめて恐縮していた。堂々とプレーするコート上とは違うその姿は22歳らしいかわいい一面を見せ、和やかな雰囲気でインタビューは始まった。

ハングリーさが足りず、早々にシーズン終了

「感情的にローラーコースターのような乱高下が激しいシーズンになってしまった。でも、勝つか負けるかを決めるのも選手次第。トレードで選手が代わったりケガ人もいたりしたが、その時々にコートに立つ選手たちがしっかり結果を求めて戦えばいいだけ。ケガは言い訳にできないけど、確かにハードなシーズンではあったよね」

和やかなスタートから一変、ブラッドリーは真摯にシーズンを振り返ってくれた。ウィザーズファンとして、まずは不甲斐なかった今シーズンを突っ込まねばなるまい。ブラッドリーが来日し、彼を知ってもらえる機会を得たのはうれしい。だが、現在なお続いているNBAの優勝争いでこそ、その存在感を示してほしかったのだ。

昨シーズンは、プレーオフ セカンドラウンドでホークスに敗れたが、未来を感じる戦いを示してくれた。だからこそ、今シーズンはこれまで以上に大きな期待をしていただけに、悔しさも大きい。

「トレーニングキャンプに入った時からチャンピオンを狙えるとみんなが信じていたし、雰囲気も良かったんだ。昨シーズンの結果よりもさらに先へ行くために必要なメンバーも揃っていた。すごく良い準備ができて、シーズンを迎えていた」

そのはずだったが、浮き沈みが激しいシーズンとなり、最後までエンジンがかからないままプレーオフ進出を逃してしまう。

「今思えば、ハングリーさが足りなかった。自分たちを突き動かすための何かが足りなかったんだ。(プレーオフ進出へ)がけっぷちに追い込まれているにもかかわらず、まだ試合数は十分にある、まだ取り返せる、という甘い考えがあったのかもしれない。シーズン中は5連勝や6連勝した時もあった。それを自分たちにとってプラスとして使い切れなかった。でも、確かに負けたシーズンにはなったけど、学べるものも多かったよ」

4年目のシーズンを終え、初来日したビール。